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米GDP2.1%増 10~12月、消費・投資ともブレーキ

【ワシントン=河浪武史】米商務省が30日発表した2019年10~12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で2.1%増えた。前期並みの成長率を維持したものの、個人消費の伸びは1.8%に減速し、設備投資も3期連続のマイナスとなった。貿易戦争による輸入減が成長率を押し上げる異例の数値となり、米景気は底堅さと危うさの両面を抱える。

成長率は市場予測(1.8%程度)を上回り、前期(2.1%)並みの伸びを確保した。19年通年では2.3%増となり、景気の拡大局面は過去最長の10年半となった。国際通貨基金(IMF)は20年も2.0%の伸びが続くと予測。息の長い景気拡大は、11月の選挙で再選を目指すトランプ大統領の追い風になる。

ただ、GDP統計の詳細をみると、貿易戦争などによる景気の下押し圧力が強くにじむ。GDPの7割を占める個人消費は前期(3.2%増)から減速した。自動車などの買い替え需要が一巡し、モノの消費は1.2%増にとどまった。

設備投資は1.5%減と3四半期連続のマイナスだ。中国との貿易戦争で企業心理が冷え込み、米製造業の景況感指数は19年12月に10年半ぶりの水準まで低下した。中国との関税合戦は事実上の休戦に入ったが、企業心理が早期に持ち直すかが米景気の先行きを左右しそうだ。

輸入は8.7%減と09年4~6月期以来、10年半ぶりの大幅な落ち込みとなった。米企業は中国製品への関税発動を見越して「駆け込み輸入」に動いてきた。18年は通年で4.4%も輸入が増えたが、在庫の積み上げが一巡。19年10~12月期は大幅な輸入減となった。輸出の伸びは1.4%と前期(1.0%)をやや上回った。

そのため輸出入を差し引きした「純輸出」が大幅に上振れし、2.1%の経済成長率のうち同部門の貢献度が1.48%分に達した。純輸出がゼロであれば、成長率はわずか0.6%だった計算だ。

住宅市況の持ち直しも成長率の押し上げ要因となった。米連邦準備理事会(FRB)は19年7月から連続利下げに踏み切り、住宅ローン金利が低下。19年10~12月期の住宅投資は5.8%増となり、17年10~12月期以来、2年ぶりの高い伸びとなった。

トランプ政権は大型減税や規制緩和を立て続けに仕掛け「3%を超す経済成長を目指す」としてきた。09年7月から続く景気拡大局面は、記録がある1850年代以降で最長となり、米景気には楽観論もある。

ただ、足元の経済成長の「強さ」は戦後最低の水準だ。平均成長率は年率2%台前半と、比較可能な1948年以降の成長局面(平均4%台)を大きく下回る。成長鈍化は労働力人口の伸びが低下した影響が大きく、3%の経済成長には移民の受け入れなどが欠かせない。

息の長い経済成長が、金融緩和と財政拡張に支えられてきた面も見逃せない。FRBは景気拡大期に異例の金融緩和を決断。大型減税と歳出拡大で財政赤字は年1兆ドル規模に拡大した。金融政策は緩和余地が一段と乏しくなり、機動的な財政出動も簡単ではなくなった。過去最長の景気拡大局面だが、その間に必要な次なる景気後退期への備えを欠いたままだ。

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