ふるさと納税、国が勝訴 裁量行政に疑問の声も

2020/1/30 21:33
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大阪高裁に入る泉佐野市の千代松市長(手前中央)ら(30日午前)

大阪高裁に入る泉佐野市の千代松市長(手前中央)ら(30日午前)

ふるさと納税制度からの除外を不服とする大阪府泉佐野市が国と争った訴訟で、大阪高裁(佐村浩之裁判長)は30日、国勝訴の判決を下した。法規制が導入される前の豪華返礼品を理由に除外したのは違法だとして、取り消しを求めた同市の請求を棄却した。千代松大耕市長は「全く受け入れがたい」と述べ、最高裁に上告すると明言した。

判決後に記者会見した千代松氏は「自分たちの考えを自治体に押しつける旧態依然の中央集権的な総務省を正当化する判決で不当だ」と強調。1週間以内に上告する。総務省の関係者は「法改正でふるさと納税が健全になったのは事実。勝訴で安定的な制度運用の環境が整った」と話した。

2019年秋にこの問題を審査した政府の国地方係争処理委員会が泉佐野市の主張をある程度認めたのに対し、高裁はほとんど認めなかった。

泉佐野市は法規制が始まる前の寄付集めを問題視して除外したことを「実質的な遡及適用で違法だ」と主張していた。佐村裁判長は判決理由で、除外基準をつくる総務相には「広い裁量」があるとの見方を示した。泉佐野市などの返礼品競争で規制を導入することになった経緯を重視し「総務相の裁量権の行使に逸脱乱用はない」とした。

規制導入前には豪華返礼品による寄付集めが「完全に適法だった」とする泉佐野市の主張に対し、裁判長は「寄付の法的枠組みを逸脱し、制度の趣旨に反する」と指摘した。さらに同市の返礼品について「極めて不適切な方法による募集で、他の自治体に多大な影響を与えた」と批判した。

総務省の完勝に近い形となったが、高木光京大教授は「過去の寄付集めに問題があったからといって制裁が許されていいのか。泉佐野市を新制度にひとまず参加させて様子をみる選択肢もあったはずだ」と述べた。

一橋大の佐藤主光教授は強制力のない「通知」で返礼品の抑制を求めてきた総務省の手法について「裁量的に口出しするのはよくない。守らない自治体があると不公平になる」と話した。そのうえで「自治体間の競争に関わるようなことは法律に明記していくべきだ」と指摘した。

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