裏社会の人生 恋情豊かに(ミュージカル評)
宝塚雪組「ОNCE UPON A TIME IN AMERICA」

関西タイムライン
2020/1/31 2:00
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クールな装いの内に熱さを持つ主人公を望海風斗(右)が凜々しく演じた

クールな装いの内に熱さを持つ主人公を望海風斗(右)が凜々しく演じた

高い人気を誇る大作映画の世界初のミュージカル化への挑戦だ。宝塚歌劇団が上演中の雪組公演「ОNCE UPON A TIME IN AMERICA」(ハリー・グレイ原作、小池修一郎脚本・演出)。1984年に公開されたセルジオ・レオーネ監督、ロバート・デ・ニーロ主演によるギャング映画を、スタイリッシュかつドラマティックに宝塚化したと言える。

主人公は、マンハッタンの場末であるローワー・イーストサイドに生まれ育ったユダヤ移民のヌードルス。彼の少年期、青年期、そして壮年期という3つの時代を交錯させつつ、物語が展開する。

禁酒法が施行されていたアメリカで、マックスら仲間たちと非合法の世界に身を置いて稼ぐヌードルスは、次第に裏社会の顔となっていく。危ない橋を渡りながらのし上がっていく姿や、その人生の変遷に加え、初恋の相手・デボラへの変わらぬ恋情、マックスとの深い縁が紡がれる。

バイオレンスの部分は控えめにし、ブロードウェイのスターからハリウッド進出まで成し遂げるデボラへの恋の描写に重点を置いたのが宝塚版の特色だ。主役の望海風斗が、才気に富む誠実さも備えた男を凛々(りり)しく造形。住む世界が違うデボラへの思いを歌う「愛は枯れない」では渾身(こんしん)の演技で、彼女に対する熱情を浮かび上がらせた。

ヒロインを演じる真彩希帆が、華やかでいて、芯の強い女性を描写。マックス役の彩風咲奈が、野心家の切れ者を鋭敏に体現している。

ゴージャスさの漂う舞台で、アウトローを演じる男役の格好良さも目を惹(ひ)くが、有為転変の人間ドラマに何よりも惹きつけられる作品だ。宝塚大劇場で、2月3日まで。

(演劇評論家 坂東亜矢子)

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