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「見せる復興」首里城誘え、観光5ルートや点灯再開

首里城復興モデルコースは、園内の案内板やチラシで周知している(那覇市)

首里城(那覇市)は31日で火災発生から3カ月を迎える。「沖縄のシンボル」の喪失に対する関心は高く、首里城公園で開かれた新春イベントは前年を上回る入園者数を記録した。ただ住民からは「この盛り上がりがいつまで続くのか」と懸念する声も上がる。政府は復興の過程を見せることで観光資源につなげようと対策を進めている。

「ここをくぐったら、次は瑞泉門に行って、その次は広福門だね」。1月下旬の同公園。城郭内へと続く歓会門前で、佐賀市から来た70代夫婦が「首里城復興モデルコース」の案内板を見ながら楽しげに話していた。

同コースは昨年12月、内閣府沖縄総合事務局などが城郭内の公開に伴い設定した。立ち入り可能な園内や周辺スポットを順路とし、城の歴史や火災の跡を感じながら巡る。コースは滞在時間に合わせて30~150分の5種類。公園の公開エリアは火災前の約8割まで回復し、夜のライトアップも再開した。

 火災で正殿などが焼失した首里城(2019年11月)=共同

火災後の入園者数(11月3日~12月15日)は前年に比べ約5割減ったが、正月三が日の恒例行事「新春の宴」には同13%増の約3万8千人が集まった。首里城を管理する沖縄美ら島財団は「特に県民が、復興を応援する気持ちで足を運んでくれた」と分析する。

政府は再建に向け、昨年末に有識者による技術検討委員会を始動。今年度中にも再建の工程表を策定する方針だが、木材の調達や職人確保など課題は多く、再建にどの程度の期間が必要かは分かっていない。

首里城近くで飲食店を営む女性は「今は復興を応援する機運があるが、来年以降はさらに客足が落ちるのでは」と不安げ。売り上げは火災直後に前年から半減、1月も6~7割にとどまった。

 首里城の焼け跡に残った一対の大龍柱(2019年12月、那覇市)

政府も長期的な観光への影響を考慮し、復興の過程を活用した集客策を段階的に打ち出す。年度内に城壁などに映像を投映するプロジェクションマッピングを開始。未公開の有料区域のうち、被害の少ない区域や正殿地下の首里城跡をゴールデンウイークまでに一般公開する方針だ。

竜をかたどった正殿前の石像「大龍柱」も補修し、復興の象徴として公開を検討している。財団の担当者は「来園者が安全に楽しめる場所を増やし、にぎわいの持続につなげたい」と力を込めた。

防火対策や資材調達、有識者懇談会で議論本格化


 首里城(那覇市)の火災から3カ月がたち、再建を巡る議論が本格化している。政府は昨年12月に示した基本方針で、焼失前の首里城と同じように「1712年に再建され、1925年に国宝指定された正殿」に復元すると表明。文化財や建築の専門家らが参画する技術検討委員会も始まり、3月中旬に中間報告をまとめる予定だ。
 検討委初会合では木材の調達や瓦の製造などが課題に挙がった。当初、電気系統が有力とされた出火原因については沖縄県警が29日、原因を特定できないまま捜査を終結。会合では防火対策について文化庁の指針に基づくスプリンクラーの効果的な使用や防火水槽、燃えにくい木材の採用などが提案された。
 沖縄県でも1月、有識者懇談会が発足。再建を通じた産業振興や地域活性化の具体策を議論する。28日の初会合では玉城デニー県知事が3月末までに基本方針をまとめる考えを示した。

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