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サムスン、「5G」で反転なるか 営業益3割減

スマホ関連、全事業の8割に恩恵

(更新)
画面自体が折り曲がるサムスン(左)と2画面合わせたLGのスマホ(ソウル市内の携帯ショップ)

【ソウル=細川幸太郎】韓国のサムスン電子が30日発表した2019年10~12月期の連結決算は、営業利益が7兆1600億ウォン(約6500億円)と前年同期に比べ34%減った。半導体部門の利益の半減が響いたが、スマートフォン部門は67%の増益を確保した。次世代通信規格「5G」関連が伸びているためだ。サムスンは部品類も含め売上高の約8割をスマホ関連事業が占め、5Gの普及を業績回復に結び付ける。

「20年は5G商用サービスが世界で本格化する。高級機種から中価格帯まで品ぞろえを充実させる」。30日の電話会見でスマホ部門担当の常務は強調した。半導体部門の業績の悪化は底を打ちつつあり、スマホ部門を軸に反転攻勢を目指す。

韓国は世界に先駆けて19年4月に5Gの商用サービスを始めており、サムスンはすでに5G対応のスマホを3機種販売する。2月には新たなモデルも発表する予定。端末の品ぞろえを充実し、日本など今後、5Gサービスが始まる世界の各市場に投入する計画だ。

端末だけではない。常務が力を込めるのには訳がある。サムスンの事業構成をみると、端末のほか、基地局、半導体、ディスプレーといったスマホ関連事業が単純合算で連結売上高の約8割を占め、金額では17兆円規模に達するからだ。スマホのほか、半導体メモリー、有機ELパネルといった世界首位の主要部品も数多く抱える。5Gの普及により部品類も高度化するため、「サムスンが世界で最も恩恵を受ける企業」(証券アナリスト)との声がある。

5G関連のトップセールスにも力を入れる。サムスンのトップ、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は1月下旬の旧正月の連休に重要市場の一つ、ブラジルのスマホ工場を訪問した。李副会長は世界の主要市場を訪問し、政府関係者や通信業界関係者らと面会することで、スマホだけでなく基地局も売り込んでいる。

ただ、足元は5Gの追い風が吹くサムスンだが、スマホ世界最大手の地位は安泰ではない。華為技術(ファーウェイ)やOPPO(オッポ)、小米(シャオミ)など中国勢が背後に迫る。2位の華為の19年のスマホ出荷台数は2億4000万台超と18年比で2割増加した。サムスンは3億台弱と18年並みにとどまったもようで、今後数年以内に、華為に首位を明け渡す可能性もある。

サムスンの通信部門トップを務める高東真(コ・ドンジン)氏は「シェアは収益確保の生命線」と話し、中国勢とのシェア争いでも一歩も引かない姿勢を示す。対抗策の一つが、低価格モデルでのODM(相手先ブランドでの設計・製造)活用だ。端末設計も外部に委託して中国勢と同じコスト水準に下げる狙い。サムスンは出荷台数の約2割にあたる5000万台を外部委託し始めた。

サムスン電子の李在鎔副会長(右)は旧正月期間にブラジルのスマホ工場を視察した(27日、マナウス工場)

とはいえ、ODMの活用だけでは中国勢との差別化は難しい。19年に発売した折り畳みスマホのように技術革新をけん引し、魅力的な端末を生み出し続けなければ、巨大な自国市場で稼ぐ中国勢に出荷台数で劣勢を強いられるのは確実だ。韓国有進投資証券の李承禹(イ・スンウ)チーフアナリストは「利益水準を高めるためのカギは技術の差別化」と指摘する。

米IDCの予測によると、20年は5G端末への買い替えで世界のスマホ出荷台数は4年ぶりに増加に転じ、14億台超となる見通し。スマホが伸びれば部品需要も伸びるため"スマホ複合企業"のサムスンにとっては大きな追い風になる。ただ、競争の激しい業界で恩恵を享受するには、技術革新をけん引しながら販売台数も伸ばすという、二兎(にと)を追う難しいカジ取りが必要になる。

LG、スマホ不振続く

 サムスンと並ぶ韓国の電機2強、LG電子は対照的にスマートフォン事業の不振にあえぐ。30日発表した2019年12月期のスマホ事業の営業損益は1兆100億ウォン(約925億円)の赤字だった。出荷台数の減少で、開発費用を捻出できない悪循環に陥っている。赤字は5年連続。世界シェアは約2%と埋没し、有効な止血策は見えない。
 19年12月にLG電子の社長に就任した權峰奭(クォン・ボンソク)氏は「収益前提の成長戦略を徹底する」と強調し、スマホ事業の21年の黒字化を掲げた。權氏は社長就任前にテレビとスマホの2事業を担当し、スマホの組み立てを韓国からベトナムに移管するなど構造改革を進めた。19年12月期の約1兆ウォンの赤字は在庫の評価損計上も一因で、コスト削減は一定程度進んでいる。ただ欧米市場でブランド力は低下し、肝心の販売減に歯止めはかかっていない。
 一時は世界4位だったLGのスマホのシェアはファーウェイやオッポ、シャオミといった中国勢に抜かれ、9位に後退した。5G対応で開発費負担は今後も上昇する見通し。規模が収益に直結するため、下位ブランドの苦境は一層鮮明になる。

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