長野県、農業生産14億円減 日米貿易協定受け試算

2020/1/29 19:38
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長野県は29日、1日に発効した日米貿易協定に伴う関税引き下げで米国産品の輸入が増え、県内の農林業生産額は14億4100万円減少するという試算を公表した。環太平洋経済連携協定(TPP11)の影響額を合わせると25億1000万円に膨らむ。県は同日、農林業分野でのこれまでの対応方針を改定。特に影響が大きい畜産物などの生産基盤強化に向けた対策を急ぐ。

牛肉の影響額は日米貿易協定で6億4600万円。TPP11を合わせると、2018年の県内生産額の13%に相当する約11億円となり、品目別の影響額は最大となった。豚肉は日米貿易協定で2億7100万円、TPP11の影響も含めると、生産額の6%にあたる3億1800万円となる。

日米貿易協定では牛肉の関税が従来の38.5%からまず発効後に26.6%に引き下げられ、33年度に9%になる。豚肉も段階的に引き下げられ、27年度に従量税は1キログラム50円(発効前は482円)、従価税は撤廃(発効前は4.3%)される。

県は「畜産が一番影響を受けるため、万全の対策をしたい」(農政部)として、29日に改定した「TPP協定等に係る農林業分野対応方針」に、ICT(情報通信技術)などを活用した牛や豚の生産効率化支援策を盛り込んだ。センサーを使って牛の分娩を知らせるシステムなどの農家への普及を進める。

県が認定する特産牛肉「信州プレミアム牛肉」はこれまで関西での販売が中心だったが、首都圏での拡販を進めるとした。豚肉も農家の施設整備や規模拡大を進める。

県の主要作物の一つであるレタスも、日米貿易協定の影響を受ける。試算では、生産額が3億4600万円押し下げられるという。このほか、ブロッコリーが3400万円、セロリが2000万円、牛乳・乳製品で2500万円の影響が見込まれている。阿部守一知事は「(作物の)ブランド化とあわせて、流通コスト削減や品質を保持したまま、大消費地に届ける方法をしっかり考えたい」と話した。

生産者の間でも日米貿易協定に対する警戒が広がる。長野県養豚協会の中村秀司会長は「長野県の豚肉は他県に比べて生産コストが高い。海外産の価格が下がれば影響は出る」と懸念し「(関税引き下げの完全履行まで)準備期間があるため、コスト削減や増頭などによる生産効率向上を進めたい」と話している。

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