/

ボルトン氏招致で最終攻防 米弾劾裁判、質疑を開始

「暴露本」でトランプ政権・共和は防戦

(更新)

【ワシントン=中村亮】「ウクライナ疑惑」に関するトランプ米大統領の弾劾裁判は、真相を知るとされるボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の招致をめぐる攻防が最終局面に入った。同氏の暴露本は大統領罷免を求める民主党に追い風で、共和党指導部は一部で招致容認論が出始めた党内の引き締めを強める構えだ。31日にも見込まれる招致採決を控え、陪審員役の上院議員による29日からの質疑応答も賛否を左右する材料になりそうだ。

ウクライナ疑惑の真相を知るとされるボルトン氏=ロイター

弾劾裁判は16日に開廷した。下院は2019年12月、ウクライナ外交を悪用し大統領選で優位に立とうとした「権力乱用」に加え、議会の弾劾調査を妨げた「議会妨害」の罪状でトランプ氏を弾劾訴追した。上院の裁判では陪審員役の議員(定数100)の3分の2以上が罪状を妥当と判断すれば有罪判決が下り、大統領職が剥奪される。

29、30日には上院議員がウクライナ疑惑に関する質問を書面に記入し裁判長に提出。弁護人役のホワイトハウスと検察官役の下院民主党が回答した。冒頭陳述で上院議員は聞き役に徹しており、質問の機会は今回が初めてとなる。

28日に終わった冒頭陳述では、ボルトン氏の暴露本で与野党の対立が一段と強まった。米紙ニューヨーク・タイムズによると、同氏は11月の米大統領選で民主党の有力候補であるバイデン前副大統領の不正疑惑に関する調査にウクライナ政府が協力するまで、同国向けの軍事支援を停止する意向をトランプ氏から告げられた。下院民主党は権力乱用を裏付ける証拠として罷免要求を強めた。

米メディアによれば、トランプ政権で大統領首席補佐官を務めたジョン・ケリー氏が27日のイベントで「ボルトン氏が本でそう書いているならボルトン氏を信じる」と語った。著作の内容を「完全な誤り」と否定するトランプ氏に痛手だ。

これに対してホワイトハウスの弁護団のジェイ・セクロー氏は裁判で「(暴露本が)仮に事実だとしても合衆国憲法に照らして弾劾訴追に値しない」と反論した。外国政府に見返りを求める行為は外交政策の手法の一つで、権力乱用に相当しないとの論理だ。

ただボルトン氏の扱いは政権・共和党にとって悩みの種だ。米メディアによると、共和党の上院トップであるマコネル院内総務は28日、同僚議員との会合で証人招致をめぐる賛否を個別に聴取した。マコネル氏は早期の裁判終了を狙って招致を回避する方針だが、28日の票読みでは招致拒否の条件となる過半数を固められなかった。

共和党は上院で53議席を握り、28日時点で「招致賛成」または「態度保留」とする議員が3人以上いたことになる。共和党のミット・ロムニー上院議員は同日、与野党がそれぞれ同数の証人を招致する案に言及。スーザン・コリンズ上院議員はCBSテレビのインタビューで「招致に賛成と結論づける可能性がかなり高い」と語った。

一方、民主党の上院トップ、シューマー院内総務は28日、ツイッターに「米国民は隠蔽ではなく公平な裁判を望んでいる」と書き込み、ボルトン氏招致を改めて要求。「共和党議員は隠蔽に賛成票を投じるのだろうか」と攻勢を強めた。

米キニピアック大が28日発表した世論調査では、証人招致の賛成が75%にのぼった。共和党支持者でも49%が賛成した。招致採決に向けて共和党指導部は党内の引き締めを強めようとしている。

米メディアによると、政権・共和党は仮に証人招致が実現する場合の対応策の検討も始めた。裁判規定では証言はまず非公開で行われるが、ボルトン氏が安全保障に関わる機密情報を知る立場にあったことから証言の記録映像などを公開しない案が浮上。トランプ氏は大統領権限を行使して証言自体を阻止する構えも見せる。

ただ、民主党から証拠隠蔽との批判を受けるのは確実だ。1999年のクリントン元大統領の弾劾裁判では不倫関係にあった元ホワイトハウス実習生らが非公開の証言に応じ、その後に記録映像が公開された。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン