ヒルトン広島、22年開業へ起工 国際会議誘致の推進役に

広島
中国
2020/1/30 2:00
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米ヒルトンは2022年、客室数が400室超の大型ホテルを広島市で開業する。インバウンド(訪日外国人)の増加による宿泊需要の受け皿になるほか、国際会議や展示会など「MICE」会場としてのニーズにも応える。県が検討していた大型MICE施設の建設計画が見送りになったこともあり、同ホテルへの期待が高まっている。

ヒルトン広島は22年4月に竣工する(完成イメージ)

ヒルトン広島は22年4月に竣工する(完成イメージ)

「市中心部で主要な観光地にも近い。開業に向けてヒルトン広島の魅力を国内外でアピールする」。29日に開かれた起工式で、日本や韓国、ミクロネシア地区の運営を取り仕切るヒルトンのティモシー・ソーパー氏はこう話した。

ヒルトン広島は22年4月に竣工する予定で、同年中に開業する。客室数は420室。レストランやスパ、チャペルなどに加え、約1300平方メートルの会議施設も備える。「ブランド力のあるホテルが中心部にできるのはありがたい。MICE誘致でも大きな力になると思う」(広島市の松井一実市長)との期待も強い。

ヒルトン広島を生かしたMICE誘致には行政関係者も熱い視線を注ぐ。県は1月中旬、採算が取れないとして広島西飛行場跡地(広島市)での大型MICE施設の建設計画を見送ったばかり。広島市は商工センター地区での複合型施設の建設を検討しているが、「市中心部からやや遠く、同地区周辺の開発計画も間延びしている」(観光関連企業)との声もある。

国際会議などはまとまった人数が数日にわたって滞在することが多く、平均的な観光客よりも観光消費額が高くなる傾向が強い。県内での消費額底上げにもつながるだけに、ヒルトン広島をMICE誘致の推進役にしたい思惑が行政にはある。

日本政府観光局(JNTO)によると、18年に広島で開かれた中・大型の国際会議は15件。前年に比べて2件増えたが、ここ数年は伸び悩みが続く。福岡(24件)や京都(51件)など他都市にも後れを取っている。東京ビッグサイト(東京・江東)のように複数の会議と展示会を1カ所で同時に開ける大型施設がないのも課題だ。

一方、「被爆の歴史を背景に、平和関連の学会や国際会議など広島で開催したいというニーズは根強い」(JTB広島支店の小田幸宏MICEセンター長)。ソーパー氏は「大型のイベントは1~3年前から手配が始まる。広島での誘致に向け、MICE営業の専門部隊を既に動かしている」と話す。開業に先駆け、官民でMICE誘致の戦略を議論することが必要となりそうだ。

広島、ホテル建設次々 客室不足なお


 インバウンドの増加を追い風に、広島市内はホテルの建設、開業ラッシュに沸いている。2019年に客室数197室の「ダイワロイネットホテル広島駅前」が開業するなど駅前での開発の動きも目立ち、20年は市内中心部や駅周辺などに約10棟が開業する見込みだ。ひろぎん経済研究所(広島市)の推計では、足元と比べ25年ごろまでに市内のホテル客室数は約2800室増える。
 観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、広島県の18年の客室稼働率はビジネスホテルで80%、シティーホテルは85%。ひろぎん経済研究所の岡崎裕一常務理事は「8割を超えると予約が取りづらい傾向がある。インバウンドの伸びや、カープ観戦での県外からの宿泊増を考えると、依然として客室は足りていない」と話す。
 ただ、新設されるのはビジネスホテルが多く、国際会議や展示会、商談会といった大型イベントには対応しきれない。市内ではリーガロイヤルホテル広島やグランドプリンスホテル広島、シェラトングランドホテル広島などでMICE開催の動きはある。ヒルトン広島の完成で、ホテルを舞台としたMICE誘致の競争激化も予想される。
(田口翔一朗)
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