共通テストの記述部分 国語は削除、数学はマーク式に

2020年度に始まる大学入学共通テストで記述式問題の導入が見送られたことを受け、文部科学省と大学入試センターは29日、出題方法の修正内容を発表した。国語は記述式の大問1問を全て削除し、試験時間を100分から80分にする。数学1と1・Aは試験時間と分量を変えず、全てマークシート方式とする。
国語はこれまでマークシート方式で4つの大問だったが、共通テストでは記述式を1問加えて最大80~120字を書かせる小問3問を出す予定だった。修正後は記述式の大問1問を削除し、これまで通りの4問とする。
試験時間はセンター試験より20分長い100分に設定していたが、大問1問を削除したことで、センター試験と同じ80分に戻した。
数学1、1・Aは複数の大問の中で、記述式の小問を計3問出す計画だった。修正後は記述式部分をマークシート方式に変えるなどし、全体の分量は保つ。試験時間も70分を維持する。
文科省は修正方法について「受験生が(18年実施の)試行調査の問題を見て準備してきたことを踏まえた」と説明した。国語は大問1問がまるごと無くなるので受験生もイメージしやすいが、数学はそのような手法がとれず、試行調査になるべく近い形とした。
従来から示している通り、授業や日常生活で課題を見つけて解決する場面を設定するなどしてマークシート式問題を改善。思考力や表現力をより問えるものにする。
駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「数学の問題はセンター試験より読み込むのに時間がかかる。70分を維持したのはよかった」と受け止める。
記述式の採点に時間がかかり、各大学への成績提供時期は1週間遅れる予定だったが、センター試験と同程度の早さで提供する。
記述式問題を巡っては、大学入試での充実策を文科省が新設した検討会議で議論することになっている。15日の初会合では「共通テストで導入すべきだ」と具体的に主張する委員はおらず、各大学の個別試験を含む大学入試全体での拡充を検討した方がよいとの意見が複数上がっていた。
記述式は自分の頭で考えたことを書くことで、思考力や表現力などを問う狙いだった。ただ50万人規模の解答を約20日間で採点する必要があり、文科省は19年12月、「採点ミスを完全に無くすことは難しい」などとして導入見送りを決定した。