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米国、旧ソ連で中ロの勢力拡大阻止 ポンペオ氏歴訪へ

【モスクワ=石川陽平】米国が旧ソ連地域で影響力の回復に乗り出す。ポンペオ国務長官が30日~2月4日の日程で、18年4月の就任以来初めてウクライナとベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンの4カ国を訪問する。各国大統領や外相と協力強化で一致し、旧ソ連地域でのロシアと中国のこれ以上の勢力拡大を阻みたい考えだ。

1991年のソ連崩壊で独立した旧ソ連諸国の間では、旧宗主国ロシアがプーチン政権の下で勢力を取り戻しつつあり、中国も自ら主導する広域経済圏構想「一帯一路」を軸に影響力を広げる。一方、トランプ米政権は旧ソ連諸国への関与を弱め、中ロの前に存在感を低下させてきた。

ポンペオ氏は30日にウクライナに入り、ゼレンスキー大統領らと会談する。2014年のクリミア半島の併合や東部紛争以降、ロシアから強い軍事圧力を受けるウクライナに「独立と領土保全への米国の支持を表明する」(米国務省)。トランプ大統領の弾劾裁判につながったウクライナ疑惑にも触れる見通しだ。

次に訪れるベラルーシでは1日にルカシェンコ大統領と会談する。強権的なベラルーシとは関係が悪化していたが、正常化への一歩とする。同国はロシアとの国家統合を深める新たな合意文書を策定中だが、自国の主権維持が危ういと懸念し、交渉は難航している。ロシアをけん制するため対米接近を演出しそうだ。

ベラルーシを訪問後、ポンペオ氏は中央アジアに向かい、ロシア主導の統一経済圏に加わるカザフスタンを訪れる。トカエフ大統領だけでなく、19年3月に大統領を突然辞任した後も「院政」を敷くナザルバエフ氏とも会い、中央アジア地域の安定を話し合う。

最後の訪問国のウズベキスタンでは、カザフスタンやキルギス、タジキスタン、トルクメニスタンも含む中央アジア5カ国との外相会議に出席する。統一経済圏や各国政権への軍事的支援などをテコに求心力を強めようとするロシアに対抗し、政治、経済両面での協力強化を表明する。

ポンペオ氏が旧ソ連諸国を訪問する背景には、今のところ表だった言及はないが、トランプ米政権が経済や外交で鋭く対立する中国が、旧ソ連で勢力を急伸するのを阻む意図もある。トランプ大統領は19年12月3日、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に向け「強大化した中国に対処する」と表明した。

中国の企業がウクライナの航空機用エンジンメーカーを買収しようとしている問題では、昨年8月にボルトン米大統領補佐官(当時)がキエフを訪れ、「軍事技術を潜在的な敵(中国)に渡してはならない」と反対した。経済が低迷するベラルーシには、中国が昨年12月に約5億ドル(約550億円)の融資を決定し、影響力を増した。

中国は隣り合う中央アジアでも一帯一路の関連事業をてこに経済関係を強めており、トランプ米政権は中国の勢力拡大に懸念を強めている。ポンペオ氏はさらに米国が強く批判している中国・新疆ウイグル地区の人権侵害問題で、中央アジア諸国に理解や協力を求める可能性もある。旧ソ連の中央アジアには多数のウイグル族が暮らし、民族的にも近い。

ロシアでは、ポンペオ氏の旧ソ連諸国への歴訪について「米国がロシアの利益圏に影響力を伸ばそうとしている」と警戒する見方が多い。ただ「中央アジアなどでは、米国の可能性や関心は限られている」(コルトゥノフ・ロシア国際問題評議会会長)とみられ、中ロの勢いを押しとどめるのは難しい情勢だ。

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