沖縄に乗客ゼロのクルーズ船2隻、新型肺炎で異常事態

2020/1/29 16:15
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沖縄県の那覇港に29日、乗客ゼロの中国発のクルーズ船が2隻寄港した。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、クルーズ会社が乗客の受け入れを停止したためだ。各社の事情で運航自体は継続したが、中国人客急減を象徴する異常事態となった。

那覇港のクルーズ船ターミナル(右)周辺は閑散(29日、那覇市)

那覇港のクルーズ船ターミナル(右)周辺は閑散(29日、那覇市)

同日朝、那覇港の岸壁にイタリア大手の大型客船が威容を現した。乗客定員5260人の同船は中国・広東省の蛇口港から東シナ海を航海して入港したばかり。普段は寄港すれば大勢の中国人客が下船するが、この日の乗客はゼロ。客室に人影は見られず、ターミナルの周辺も閑散としていた。

同社の日本支社によると、中国政府による団体海外旅行の禁止措置を受けて「乗客を乗せての航行は取りやめた」という。那覇に予定通り立ち寄ったのは「コンテナ物資を那覇で積む予定があったため」。フィリピン人の若い船員は「乗客ゼロで仕事は楽だが、今後が心配」とぼやいた。同日中に那覇を出港し、上海に向かった。

クルーズ船ターミナルの観光案内所も客の姿は見られなかった(29日、那覇市)

クルーズ船ターミナルの観光案内所も客の姿は見られなかった(29日、那覇市)

同日午後には別の岸壁に、米国大手の大型客船(乗客定員4246人)が上海から入港した。同社の日本代理店によると、那覇への寄港は「何らかの理由で上海に停泊できなくなった」ため。乗客向けには「欠航」と発表した。船員だけ乗っており、那覇に1泊して30日に博多港(福岡市)に向かう予定だ。ただ上海に停泊できなかったため、博多から先の日程は決まっていないという。那覇港の関係者は「乗客ゼロは前代未聞」と嘆く。

中国の経済力拡大を背景に、沖縄のクルーズ船観光は拡大している。2019年の那覇港へのクルーズ船の寄港回数は260回と、18年まで全国トップだった博多港を抜いて初めて首位となった。重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した03年の寄港回数は26回にすぎなかった。中国需要が大きく膨らんだ現在は、その反動も大きくなる恐れがある。

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