英がファーウェイ一部容認 5G関連、米と亀裂

2020/1/28 21:38 (2020/1/28 22:26更新)
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トランプ米政権はファーウェイへの締め付けを強めている=ロイター

トランプ米政権はファーウェイへの締め付けを強めている=ロイター


【ロンドン=佐竹実、ワシントン=鳳山太成】英政府は28日、次世代通信規格「5G」の通信設備をめぐり、中国の通信大手華為技術(ファーウェイ)などの製品を一部容認すると発表した。アンテナなど基地局を中心に使用を限定することで、安全保障上の懸念を回避できると判断した。完全排除を求めてきた米国の反発が予想される。欧州連合(EU)離脱後の米国との通商交渉に影響する可能性もある。

英国は28日に安全保障会議を開き、ファーウェイ製品の限定的な容認を決めた。英政府の発表によると、ファーウェイを念頭に「高リスクな通信機器会社」を5Gネットワークの中核部分から排除する。基地局など周辺機器は全体の35%まで使用を認める。核関連施設や軍事施設など機密性の高い場所からは除外する。

ファーウェイは28日、「今回の決定は英国に安全で高性能な通信インフラをもたらす」と歓迎する声明を出した。

一方、米国は完全排除に向けて圧力をかけてきた。トランプ大統領は24日にジョンソン英首相と電話で5Gについて協議。ポンペオ国務長官は29日に訪英し、ジョンソン氏やラーブ外相と会談する予定だ。英のEU離脱のほか、ファーウェイ問題も議題になりそうだ。

米政権は英国がファーウェイ製品を採用すれば対抗措置を打ち出す構えをみせてきた。英国と機密情報を共有するのを制限するほか、英国が早期締結を望む米英自由貿易協定(FTA)の交渉を遅らせたり、制裁関税を発動したりする事態までちらつかせてきた。

英国は米国と安保上の機密情報を共有する5カ国「ファイブアイズ」の一角を占める。それでも英国がファーウェイ完全排除を求める米国の要請に応じなかったのには、いくつかの理由がある。

一つはコストだ。ファーウェイは携帯電話の基地局で世界3割のシェアを持つ。巨額の研究開発費を背景に性能の評価は高く、コストは競合より2~3割安いとされる。

英国の通信会社はアンテナなど基地局の一部で同社製品を使用している。これが完全排除になれば5G移行時のコストがかさみ、自動運転など次世代技術の国際競争に乗り遅れる懸念が高まる。

もう一つは安全保障上のリスクをめぐる見解の相違だ。英国では専門家が通信会社の中核ネットワークからファーウェイを排除すれば問題ないと分析してきた。これに対し、米国は各地に張り巡らせる基地局のアンテナで製品を使用するだけで重大なリスクになると主張してきた。

英メディアなどによると、英政府は米国に代替案を示すよう求めてきたが明確な返答は得られず、ファーウェイ容認に傾いていったという。

英国は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に率先して参加するなど、中国との経済関係を重視してきた。EU離脱後の中国との経済連携の強化もにらみ、ファーウェイの完全排除は得策ではないとの判断が働いているようだ。

欧州ではファーウェイ製品を通信網に採用する国が拡大している。ドイツは2019年10月に政府が公表した安全基準案で事実上容認する姿勢を示した。政府が認めれば通信4社すべてが採用する見通しだ。フランスではマクロン大統領がファーウェイについて「排除しない」と明言。スイスでは通信大手サンライズが中核システムを含め全面的にファーウェイの製品を採用している。

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