株、下値警戒感強まる 「相場連動」株に売り

2020/1/28 20:30
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株式市場で下値への警戒感がくすぶっている。新型肺炎の感染拡大の勢いが止まらず、中国経済への悪影響も懸念される。一部の投資家は、株式市場全体との連動性の高い銘柄を売るなど、保有株全体のリスクを落としている。不安収束に時間がかかれば、相場の変動率上昇がさらなる売りを呼ぶ可能性もある。

28日の東京株式市場では前日に下げの目立った資生堂などインバウンド関連に買い戻しが入る一方、THKが前日比1.9%安となり、今年に入ってからの株価上昇分をほぼ吐き出した。シャープが1.1%安、日本製鋼所も1.6%安と、日経平均株価の下落率(0.5%)を上回った。

共通点は東証株価指数(TOPIX)との連動性を示す「ベータ値」が高いことだ。例えば、ベータ値が2の銘柄はTOPIXが1%下落すると株価は2%下がる。逆にTOPIXが1%高のときには株価は2%上昇する。THKのベータ値は2、シャープや日製鋼も1.8台と、相場全体よりも値動きが大きい傾向がある。

高ベータ株が売られた背景には「投資家が新型肺炎の感染のさらなる拡大による株安を警戒している」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之氏)ことがある。高ベータ株は相場全体が下がると市場平均よりも大きく売られるため、保有比率を減らすことで保有株全体のリスクを落とす狙いがある。

新型肺炎の感染拡大が続くなか、生産活動など中国景気そのものの先行き懸念が高まっていることも一因だ。高ベータ株の多くは中国など世界経済の動向に左右されやすい半導体など外需関連株だ。持ち直してきていた製造業の景況感指数が新型肺炎の悪影響で「再び下振れる可能性もある」(アセットマネジメントOneの山田宗頼氏)中では、外需関連株を選好しづらい。

需給面での懸念もくすぶる。市場の不安心理が一段と高まって株の変動率が上昇すれば、自動的に持ち高を減らす「リスク・パリティ戦略」からの売りが出るリスクがあるからだ。

実際、足元でオプション価格から算出する予想変動率は日米欧でそろって上昇傾向にある。27日には米国と欧州の予想変動率が2~3割上昇したほか、日経平均の予想変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)」は28日に一時20台と、約5カ月ぶりの高水準をつけた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真氏は、リスク・パリティ戦略がこれまで先進国株の持ち高を増やしてきた点を指摘した上で、「先進国株が週間で5%安になると、リスク・パリティ戦略からまとまった売りが出る」とみる。

もっとも、市場では「新型肺炎問題は相場の方向感を大きく変えるほどのものではない」(三菱UFJ国際投信の小西一陽氏)との声も上がる。押し目を買いたい投資家も少なくなく、28日の日経平均は取引終了にかけて下げ幅を縮小した。三井住友トラスト・アセットの上野氏は「感染者数の増加ペースの鈍化など、いつ沈静化の兆しが見えるかが目先のポイントになる」と話していた。

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