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リーマン後の危機対応「副作用めだつ」09年日銀議事録

金融政策決定会合に臨む白川総裁(中央)ら(2009年10月14日、日銀本店)=共同

日銀は29日、2009年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公開した。08年のリーマン・ショック後の急激な経済の悪化に歯止めがかかり、焦点は異例の危機対応策の終わり方に早くも移っていた。ただ物価が下落するなか「デフレ」という言葉を避ける姿勢は追加緩和に消極的と批判され、発足したばかりの民主党政権との対話に苦慮する姿も浮かびあがる。

日銀はリーマン危機後、2度の利下げ、社債や企業が資金調達に使うコマーシャルペーパー(CP)の買い取りなど「異例の措置」(須田美矢子審議委員)を相次いで導入した。すでに7月時点で「リーマン破綻に伴う経済変動はこれまでの間にその吸収をほぼ終えた」(山口広秀副総裁)との認識が広がっていた。

会合を重ねるごとに景気判断も上方修正を繰り返した。「一連の措置は必要な期間に限り、必要な規模に限っての適用でなければならない」(中村清次審議委員)。議論の焦点は異例の措置をいつ手じまうかに移った。

「政策効果が途切れた後の経済の姿には不確実性が残る」(白川方明総裁)というのが日銀内の共通認識だったが「効果と副作用のバランスに変化の兆しが出ている」(山口副総裁)、「時限措置が恒久的とみなされると市場に恒久的なゆがみをもたらし、モラルハザードを起こす」(西村清彦副総裁)といった声が強まる。10月の会合でCPと社債の買い取り措置を予定どおり09年末に打ち切ると決めた。

一方で、議論が白熱したのは「デフレ」という言葉を使うかどうか。金融・経済環境は落ち着きを取り戻していたが、消費者物価上昇率は09年前半からマイナス圏で推移していた。日銀は「デフレと言うことによる自己実現的な景気の弱さに対する懸念」(白川総裁)から、デフレと言い切ることを避けていた。

こうした姿勢が追加緩和に消極的だとの日銀批判を招いた。白川総裁は「微妙なバランスを常に意識して発言しているが、それが時として日銀は楽観的ではないかという批判につながる。いつも悩んでいる」と吐露。「真意が十分に理解されていない」(中村審議委員)との声も漏れた。

「不透明感がより強まったこともあり、なんとなく先に進めない」(中村審議委員)、「日本経済の成長性を高めるためにどうすべきか、新しい政権になってからまだ伝わってこない」(須田審議委員)。議事録には09年9月に発足した民主党政権との距離も浮かぶ。

11月20日の決定会合で、白川総裁は「デフレという言葉を定義しないで使っていくと、やはり混乱を招く」と議論をまとめた。ところがその直後、政府は月例経済報告の関係閣僚会議で日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」と表明した。

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