「6G」はや主導権争い 日本、失地回復へ官民会議

2020/1/27 20:00
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総務省で開かれた6Gについて話し合う「Beyond 5G推進戦略懇談会」(27日)

総務省で開かれた6Gについて話し合う「Beyond 5G推進戦略懇談会」(27日)

国内で今春に商用化される高速通信規格「5G」の次の世代となる「6G」をめぐり、世界で早くも主導権争いが始まった。総務省は27日、2030年ごろの実用化をにらみ、官民による有識者会議の初会合を開いた。5Gの技術開発や商用化で遅れた日本は失地回復をめざす。米中なども研究開発を始めており、足元で大きく開いた差を埋めるのは容易ではない。

有識者会議の座長に就いた東大の五神真学長は「競争力のある国内の基礎技術を見極め活用していく」と指摘した。会議は経団連や消費者団体の幹部、全国知事会長ら10人で構成し、6G開発に向けた戦略を立案していく。29日に立ち上げる作業部会にはNTT東芝の関係者が入り、技術面から検討を進める。

6月をめどに最初の取りまとめをし、21年度予算の概算要求に支援策を盛り込む。国連の専門機関の国際電気通信連合(ITU)や民間の標準化団体「3GPP」での標準化の議論を見据え、数年間は継続する見通し。

総務省が検討を開始するのは、世界で6Gに向けた動きが表面化しているためだ。中国政府は19年11月、6Gの研究開発の開始を発表。研究の推進に責任を持つ政府系機関に加え、37の大学や研究機関、企業からなる技術的組織を立ち上げた。華為技術(ファーウェイ)の梁華会長は6Gに関して「研究チームを任命した」と発言している。

米国でもニューヨーク大や国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が無線とセンサー技術の研究拠点を設置した。米連邦通信委員会(FCC)も「テラヘルツ」と呼ぶ高い周波数の電波の研究利用を認めた。

通信分野で規格に関わる特許を持つと、機器やソフトウエアで巨額の利益をもたらす。サイバー創研によると、5Gの標準規格に関する必須特許は韓国のサムスン電子が全体の8.9%で首位。日本勢は5.5%のNTTドコモの6位が最高だった。携帯基地局の日本勢の世界シェアはNEC富士通とも1%以下まで落ちた。

日本の通信関係者は6Gを語る際に「ゲームチェンジ」という言葉をよく使う。5Gまでの高速大容量化の深掘りだけなら競争は厳しいが、省エネやセキュリティーといった国内企業が強みを持つ技術が生かせれば挽回できる余地があるとみているためだ。

NTTは回線から端末までの通信や情報処理を電気信号を使わずに光だけで実現する「IOWN(アイオン)」という構想を提唱している。電気信号への変換をなくすことで消費電力を100分の1に減らせるという。有識者会議で、情報通信研究機構の徳田英幸理事長は「光の技術は日本がまたリードするチャンスがある」と語った。

ドコモも空中や海中、宇宙まで通信エリアを拡張する6G構想を示している。

セキュリティーの面では東芝やNECが強みを持つとされる量子暗号技術に期待がかかる。

▼6G 第5世代移動通信「5G」の次世代となる規格。5Gを超えるという意味で「ビヨンド5G」と呼ばれることもある。研究はまだ初期段階で、具体的な技術基盤は確立されていない。
 総務省の有識者会議では30年代の暮らしや社会の姿を想定し、そこから技術基盤を開発するアプローチをとる方針だ。自分の立体映像を職場や学校に浮かび上がらせ、自宅にいながら会議や授業に出席する。着替えや食事の支度をロボットが手伝う。体に埋め込んだ端末などで脈拍や血圧のデータを医師に送る――。
 こうした変革を支える6Gには、2時間の映画を3秒でダウンロードできる5Gの10倍以上の通信速度が求められると想定。ネットに同時につなげる機器も10倍、通信の遅延は3割以下に抑える必要があるとみている。
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