自己破産申請の百貨店、大沼 「支払い延期不可能」

2020/1/27 18:24
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山形市の老舗百貨店、大沼が27日、山形地裁に自己破産を申請した。26日で営業を停止し、従業員191人は同日付で解雇した。長沢光洋代表取締役は27日、記者会見し、「(消費増税があった)昨年10月以降、状況が一変して売り上げが大きく減った」などと説明。販売済みの商品券の取り扱いなどでは顧客にも影響が及ぶ。日本百貨店協会加盟の百貨店がなくなる都道府県は山形が初めて。

営業を停止し、シャッターが閉じられた(27日、山形市)

営業を停止し、シャッターが閉じられた(27日、山形市)

2019年10月の消費増税以降、売上高が前年同月比で3割以上減少するなどし、資金繰りが急速に悪化。1月末までに約4億円の債務を返済するメドが立たなかった。負債総額は25億円で、解雇に伴う退職金を合算すると30億円前後になる見込みだ。長沢氏は「320年の歴史に幕を閉じ、多大な迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪した。

大沼は経営不振が続き、18年4月から創業家に代わって東京の投資ファンドが再建に当たった。ただ、経営を巡る混乱が続き、地元スポンサーの支援を得た従業員が19年3月に経営権を取得した。

この間、社長が頻繁に交代。新銀行東京の執行役員だった長沢氏がトップに就き、19年8月に米沢店(山形県米沢市)を閉鎖するなど再建を進めていた。しかし、「高コスト体質の是正や契約条件の変更が難しかった」(長沢氏)という。

県内でホテルなどを経営するスポンサーはピーク時に4億6000万円の資金を大沼に供与していた。19年10月に資金繰りが行き詰まった際も支援を受けたが、今回は断念。大沼の敷地と建物の所有権はスポンサーに移転した。

大沼は4月の新入生向けのランドセルや学生服などの注文を受けている。顧客に商品を優先的に引き渡せるように管財人に依頼するとしているが、19年2月時点で残高が3億9000万円だった友の会の積立金や、発行残高が5億円の商品券などについては半額は保全されるが、残りの取り扱いは未定。債権者説明会は6月に開く予定だ。

「支払い延期 依頼できず」、長沢代表取締役の一問一答

大沼の長沢光洋代表取締役は27日、山形市内で記者会見し、自己破産に至った経緯を説明した。主な一問一答は次の通り。

記者会見で謝罪する長沢代表取締役(27日、山形市)

記者会見で謝罪する長沢代表取締役(27日、山形市)

――なぜ、突然の自己破産に至ったのか。

「今日時点で500社への支払いがあり、延期を依頼するのは不可能。公平に分配する必要があると考えた。友の会の買い物券など一般の方にも迷惑をかけることは本当に申し訳ないが、時間がなかった。(スポンサーにも)個人では限界と思われる資金をすでに出してもらっており、断念した」

「昨年10月から『いったい何が起こったのか』と思うような異次元の売り上げの落ち込みがあった。その時も(経営破綻を)考えた。民事再生法も考えたが、時間がなかった」

――出資を募ることも表明していた。他に方法はなかったのか。

「スポンサーが出資を募るなら億円単位と言われて断念した。出資を求めるには事業計画が必要だが、百貨店の高コスト体質を改めない限り、絵に描いた餅に終わると考えた」

「大沼の食品売り場は地域の高齢者には不可欠なものになっている。スポンサーが所有者になっているので、地下の食品売り場の再開は可能かもしれない。大沼のような商業施設は必要なので、皆様の力で再生してほしい」

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