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グンゼの金牌、生糸で世界品質証明(古今東西万博考)

1900年・パリ

1900年のパリ万博でグンゼが受賞した金牌

1896年に京都府何鹿(いかるが)郡(現在の京都府綾部市)で創業したグンゼが、世界的メーカーへ成長するきっかけとなったのが1900年のパリ万国博覧会で受賞した「金牌(きんぱい)」だ。現在は下着やストッキングのメーカーとして知られるグンゼだが、創業時は蚕糸業。パリ万博に出品した生糸の品質が世界に認められ、以後の輸出拡大へとつながった。

創業に先立つ1885年、京都府の繭と生糸は国内の品評会で「粗の魁(さきがけ)」という酷評を受けていた。後にグンゼを創業する波多野鶴吉氏は何鹿郡蚕糸業組合の組合長に就任し、蚕糸技術の向上に着手。前職が小学校の教員だった波多野氏は教育を重視し、蚕糸工場で働く女子工員らに読み書きそろばんなどを教えた。一見、工場の生産には関係なさそうだが、「『善い人が良い糸をつくる』という考えからで、教育を続けることで製品の品質も向上した」(グンゼ博物苑の天橋歩さん)という。

1900年パリ万博には日本から53点の生糸が出品され、1社が名誉賞、グンゼを含む4社が金牌を受賞した。「粗の魁」からわずか15年で、世界に認められる品質に到達したことになる。受賞の5年後にはグンゼ製生糸の海外輸出は5倍に拡大。世界の生糸の8割を日本製が占めた最盛期には、後に富岡製糸場と合併する片倉製糸紡績(現・片倉工業)と並んで「東の片倉、西の郡是(グンゼ)」と称されたほどだった。

戦後はナイロンなど代替製品の登場で蚕糸業は衰退し、グンゼの主力事業も大きく変わった。金牌は創業の地にあるグンゼ記念館(京都府綾部市)に今も展示され、歴史を今に伝えている。

(小国由美子)

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