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中国の新型肺炎、世界経済に影

死者56人・患者2000人超 日本は4例目

記者会見する中国国家衛生健康委員会の馬暁偉主任(右)(26日、北京)=共同

【北京=多部田俊輔、上海=張勇祥】中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者は26日までに56人となり、患者数は2千人を超えた。習近平(シー・ジンピン)指導部は政策総動員で感染拡大を封じ込める構えだが、内外で止まらない。重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)が流行した2003年当時と比べ中国の存在感は格段に高まっている。日米両政府が武漢市に在留する自国民を退避させるなど、人の往来にも影響が出てきた。週明けの市場は感染拡大が世界経済にどう波及していくかを注視する展開になりそうだ。

中国の国家衛生健康委員会によると、新型肺炎の発生源とみられる湖北省で52人が亡くなり、黒竜江、河北、河南の各省と上海市で1人ずつ死者が出た。感染しづらいとされてきた子供にも感染が拡大した。中国メディアによると、日本時間26日午後9時時点で患者数は累計で2065人になった。

国家衛生健康委の馬暁偉主任は26日の記者会見で、新型コロナウイルスについて「感染力が強まっている」とし、警戒を呼びかけた。日本の厚生労働省も26日、国内で4例目の感染者を確認したと発表した。武漢から観光で来日した40代男性だ。

日米両政府は武漢市に在留する自国民を退避させる方針だ。強烈な感染症が猛威を振るった場合には、内外で人の往来が大きく抑制される。結果として世界のビジネス全体を停滞させる。

アジア開発銀行の推計によれば、東アジアや東南アジアでは03年の成長率がサーズの影響で0.6ポイント低下し、被害額は約180億ドルに上ったという。感染症の拡大規模に比べて経済的な損失が非常に大きかったとした。

03年は世界的な人の移動にも大きな影響が出た。国際航空運送協会(IATA)によると、実際に運んだ旅客数と飛行距離をかけ合わせて算出する「有償旅客キロ」は7460億旅客キロ(アジア・太平洋地域)で、02年と比べて約5%減った。同地域の航空会社は数千億円の減収につながったとされている。当時と比べて中国を起点とする人の移動は格段に増えており、影響は深刻になりそうだ。

日本の観光業への影響も出てきた。

北海道洞爺湖町の洞爺湖を望む大型ホテルは、春節休暇中に全約200室がほぼ満室の予定だった。ここ数日で中国人客の宿泊キャンセルが続出し、多い日で50室が空いた。団体旅行の禁止を受け、ホテルは「キャンセルはさらに増えるだろう」とみる。富士山の玄関口、山梨県富士河口湖町のホテルでは2月以降に入っていた中国人客の団体旅行5件が中止となり、100人近くの来客が見込めなくなった。

全日本空輸(ANA)は成田―武漢便について、2月1日の武漢出発便まで欠航する。

中国景気が停滞すれば日本企業の業績悪化につながる。市場で投資家の不安心理が強まれば、株価の下押し圧力となる。「インバウンド需要に支えられていた、小売りなどの銘柄は業績面でのリスクが高まる」(JPモルガン・アセット・マネジメントの重見吉徳氏)との声が出ていた。外為市場でもリスク回避の動きが強まり、円高に振れやすくなりそうだ。

19年の訪日客数(3188万人)のうち、1位の中国(959万人)は3割を占める。2位は韓国(558万人)で、両国で全体の約半分。消費額では中国の存在感はさらに大きい。19年は全体の4割弱にあたる約1兆7700億円を占めた。消費額は2位の台湾の3倍以上だった。

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