物価、脱デフレへ足踏み 世界でも際立つ低インフレ

2020/1/24 19:59
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日本の物価上昇率が高まらない。総務省が24日発表した2019年の消費者物価指数は値動きの激しい生鮮食品を除いた総合で前年比0.6%上がった。伸び率は18年の0.9%から鈍化した。低インフレの傾向は他の先進国と比べても際立つ。金融緩和に超低金利の副作用が目立つ中、成長力を底上げしなければ安定した物価上昇への道筋は見えてこない。

政府・日銀はデフレからの脱却に向け、2.0%の物価安定目標を掲げている。アベノミクスが始まった13年以降の7年間で達成できたのは、消費税率を5%から8%に上げた14年(2.6%)だけ。14年以外は1.0%にも届かない。他の先進国と比べても水準は低い。米国は17~18年に2%台で、鈍化した19年も1.8%に達している。

日本は19年に5年半ぶりの消費増税があったが、飲食料品への軽減税率や幼児教育・保育の無償化などの家計支援策の効果もあり、物価の押し上げは限定的だった。

増税しても物価上昇が緩やかであれば実質所得の目減りが抑えられるため、内需の柱である個人消費への悪影響は少なくて済む。一方で消費の基調の弱さが物価の停滞を招いている面もある。

15年を100とする物価指数は食品などの非耐久財が19年に103.6となったが、衣服などの半耐久財は102.6と上昇が小幅だ。家電などの耐久財は98.3と逆に落ち込んでいる。消費の頻度が多い品目ほど物価上昇率が高いことからは、消費者が必需品以外は支出を絞る構図が浮かぶ。

経済も物価も政府や日銀が思い描くようには伸びていない。政府は19年度の実質経済成長率と消費者物価上昇率(生鮮食品含む)を、昨年初めにはそれぞれ1.3%、1.1%と見込んでいた。経済成長率の見通しは、20日の閣議決定で0.9%に下方修正した。

一方で19年の物価上昇率は生鮮食品を含む総合で0.5%、生鮮食品を除くと0.6%にとどまった。外食(1.5%)や菓子類(2.0%)など伸びが大きい品目は材料費や人件費の高騰を映している。総じて個人消費は堅調ながら、需要が力強く物価を押し上げるほどではない。

SMBC日興証券の宮前耕也氏は「消費の基調が弱いので、不要不急のものはなかなか物価が上がらない」と分析する。総務省は「物価の緩やかな上昇傾向に変わりはない」との見方を示すが、物価安定目標の2.0%はかすんでいる。

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