情報保護と販促戦略を両立 ゼロパーティ・データ
いまさら聞けない注目テック用語

コラム(テクノロジー)
2020/3/24 2:00
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米グーグルは外部企業が個人ユーザーのネット閲覧履歴などを把握する仕組みを制限すると公表した。個人情報保護強化の動きが世界で進んでおり、広告やマーケティングの精度低下が懸念されている。そこで注目され始めたのがアンケートなど利用者から情報を直接収集する「ゼロパーティ・データ」の活用だ。

ゼロパーティは米国調査会社フォレスターリサーチが提唱したデータ分類だ。

データを「ゼロパーティ」から「サードパーティ」まで分類する。ファーストパーティはサービス提供者が直接収集する情報で利用者が無意識に提供する。自社サイト内の検索履歴などが当てはまる。

企業が自社以外のサイトから直接収集したデータをセカンドパーティ、プラットフォーマーなどが収集して販売するデータをサードパーティと呼ぶ。セカンドを含めてサードパーティと一括で呼ぶことも多い。

対して、ゼロパーティは利用者が何かの対価を得ようと自ら情報を提供する。お気に入りブランドのサンプルをもらえるキャンペーンで、好みの色や柄などを利用者が入力したデータがゼロパーティだ。

ゼロパーティは実際の利用者の生の声を収集できる。マーケティングツール開発の米チーターデジタルのサミール・カジ最高経営責任者は「ゼロパーティは情報価値が高い。企業はこれまでコストをかけて集めてきたサードパーティのデータは間接的で利用者の意向を直接表さない」と語る。

マーケティングサービスの英ライブランプのマーチン・ウォレス氏は、ブログでゼロパーティは「プライバシーとパーソナライズの矛盾を解消する」と指摘する。「企業は必要な情報を利用者から直接収集し、利用者は提供するかどうかをコントロールできる」

チーターデジタルは企業のゼロパーティの活用支援に動く。日本法人(東京・中央)がゼロパーティを基に、忠誠度の高い顧客を開拓するサービス「カスタマー・エンゲージメント・スイート」の提供を始めた。

チーターデジタルのカスタマー・エンゲージメント・スイートでは、ゼロパーティ・データを収集するためのキャンペーンを作成するためのツールを用意している

チーターデジタルのカスタマー・エンゲージメント・スイートでは、ゼロパーティ・データを収集するためのキャンペーンを作成するためのツールを用意している

「アパレルや金融、プロスポーツなどブランドを重視する企業を中心に販売する」と、日本法人の白井崇顕副社長兼最高執行責任者は話す。電通デジタルと組み、ゼロパーティの収集支援やロイヤリティープログラムの導入支援も行う。

欧州の一般データ保護規則(GDPR)や米カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)に続き、日本でも個人情報保護法の改定が控えている。ゼロパーティはプライバシーを守りつつ、精緻な情報を収集する手法といえる。

ただサードパーティと異なり、データ集めが容易ではない。データ分析には一定の母数が必要だ。質の高いデータをどれだけ集められるか。ゼロパーティはデータ収集の方法も問われそうだ。(北郷達郎)

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