正念場こそ地元密着を共有 松江で金融シンポジウム

2020/1/24 2:00
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島根県信用保証協会が主催したシンポジウムには200人以上が参加した(18日、松江市)

島根県信用保証協会が主催したシンポジウムには200人以上が参加した(18日、松江市)

島根県信用保証協会が18日、松江市で開催した金融シンポジウムには地域金融に関わる200人以上が全国から集まった。伴走型支援のあり方について意見が交わされたほか、各地で顧客の事業再生を手掛ける登壇者の取り組みに参加者は熱心に耳を傾けていた。シンポジウムを受け、取引先との関係性を改善しようとする動きも現れ始めている。

「地域金融は今、正念場を迎えている」。広島銀行出身でコンサルティング業を都内で手掛ける寺岡雅顕氏が基調講演でこう切り出した。若手人材の退職による人的資源の崩壊、顧客との関係性の弱体化といった課題は多くの地域金融機関で共通している。

こうした状況だからこそ融資や本業支援によって中小・零細企業の経営を支える「リレーションシップバンキング(地域密着型金融)」の重要性を再認識する必要があると、寺岡氏は語った。

同シンポは全国の「リレバン巧者」の取り組みを共有し、地域金融の底上げに務める人たちを全国レベルでつなげるのが大きな狙いだ。約半数は県外からの参加者だった。

パネル討論には北門信用金庫(北海道滝川市)で企業支援室長を務める伊藤貢作氏や、諏訪信用金庫(長野県岡谷市)の奥山真司・長地支店長らが登壇。「事業性評価の肝は企業再生だ」(伊藤室長)、「支店長こそ破綻懸念先を回り、伴走して再生の手立てを考えるべきだ」(奥山支店長)――。現場からの声には参加者が首肯していた。

「地域金融の行く末を考える上では欠かせない地で、これほどまでに熱い人たちが集まったことに意義がある」。経営支援や事業再生をテーマにしたシンポが、島根県で開催されたことに大きな意味を見いだしていた参加者もいた。

島根県では昨年秋、島根銀行SBIホールディングス(HD)が資本・業務提携をした。同行では経営難が続いていただけに、資本提携で貸借対照表(バランスシート)は安定するなど、地域事業者の間でも安堵の声は広がっている。

一方で、「島根銀が徹底した草の根の金融仲介を果たせるかが今後の焦点だ」(金融関係者)との声もある。低金利や人口減少で同行を取り巻く環境は厳しいが、中小・零細の経営はもっと厳しい。「顧客の事業再生や経営支援に本気で取り組み、誇りを持てる仕事をしよう」(寺岡氏)との呼びかけに、参加した島根銀の若手行員も傾聴した。

3班に分かれた分科会でも活発な議論が行われた。島根県内のある地域金融機関からは「債務者区分のランクアップも支店の業績評価に組み入れたいと思う」など、早速変わろうとする動きも出ている。

信用保証協会がこうしたシンポを企画するのは全国でも珍しい。主催した島根県信保協は「課題先進地の島根県に多くの知恵が集まった。伴走型の支援が全国で少しでも広がるきっかけになってくれれば」と話している。(田口翔一朗)

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