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スマホ決済、淘汰の時代 メルカリがOrigami買収

メルカリのスマホ決済「メルペイ」

メルカリは23日、傘下のスマートフォン決済のメルペイ(東京・港)がスマホ決済のOrigami(オリガミ、東京・港)を完全子会社化すると発表した。スマホ決済を巡っては、ソフトバンクグループが手がける「ペイペイ」などIT(情報技術)系大手が大型キャンペーンを相次ぎ打ち出して利用者を拡大する一方、資金力で劣るオリガミのような独立系事業者は苦戦を強いられていた。今回の買収をきっかけに業界再編が進みそうだ。

オリガミはスマホ決済「オリガミペイ」を運営する。メルペイがオリガミの全株式を取得し、完全子会社化する。株式譲渡の実行日は2月25日の予定で、買収金額は非開示としている。メルペイとの統合で、将来的にオリガミペイのサービスは終了する見通しだ。終了時期は未定だが、オリガミペイの利用者は新たにメルペイに登録する手続きが必要になる。

オリガミは2012年に設立したフィンテック系のスタートアップだ。当初はスマホの電子商取引(EC)アプリを展開してきたが、16年にQRコードを利用した決済サービスに参入。他の決済手段に比べて当初は割引率が高く、20~30代のユーザーに人気があった。17年1月にはタクシー大手の日本交通でサービスが利用できるようになり、ビジネスマンの需要も開拓するなど、スマホ決済のパイオニアとして事業展開を進めてきた。決済できる場所は約19万カ所に上る。

潮目が変わってきたのは、IT大手のスマホ決済への参入だ。16年に楽天が、18年にはソフトバンクグループ傘下のPayPay(ペイペイ、東京・千代田)が参入した。

ペイペイは18年末、購入額の20%を利用者に還元するキャンペーンを実施。サービス開始から1年余りで利用者数は2300万人を超えた。単月の決済回数は1億回を超え、1年間で22倍に増えた。

2月には外食チェーンでペイペイを利用すると、購入金額の40%を残高として還元し「まだまだユーザーが増える手を打っていく」(中山一郎社長)と攻め続ける。全国20拠点で数千人が使える場所を開拓し、加盟店は185万カ所超になった。ペイペイは豊富な資金力を背景に利用者、加盟店を増やしている。

ペイペイのキャンペーンを皮切りに、他のスマホ決済を手がける企業も還元施策を次々と始めた。キャンペーンごとに利用するスマホ決済を変える消費者も出てきて、利用者獲得のための還元施策は競争が激化していた。

還元施策は利用者を獲得できる半面、企業への負担も大きい。オリガミも決済金額を直接割り引く形で、サービス開始直後からユーザー還元競争に率先して取り組んできた。すべての加盟店で、1~2割引きにするクーポンを配信したり、加盟店での飲食代金を500円以上割り引いたりした。原資はオリガミ自身が負担する場合と、加盟店とオリガミが出し合う場合があった。

だが企業体力に限りがあるオリガミのようなスタートアップにとって、還元競争と消費者の認知度向上策には限界があったのは事実だ。クーポンの多くは利用店舗が限られていた他、利用期間が1日から1週間などと短いものが多かった。

ペイペイなどが取り組んだ大規模な還元策に対抗することができず、ユーザーが日常的に使う決済サービスとしての存在感は強まらなかった。

また、テレビCMなどでの広告も大手の決済サービスと比べて数が少なく、認知度が高まらないままだった。MM総研(東京・港)が19年10月に公表した調査によると、ペイペイや楽天ペイ、LINEペイの認知度が60%を超えているのに対し、オリガミは20%強にとどまるなど、苦境を強いられた。

LINEはスマホ決済「LINEペイ」で大型の還元キャンペーンを19年4~6月期に実施し、マーケティング費用として97億円を投じた。その結果、同社の19年1~9月期の営業損益は275億円の赤字(前年同期は67億円)だった。

LINEの出沢剛社長は「18年以降、決済事業者間による還元が激化し、消耗戦が続く。効率的なマーケティングで差別化した戦略をとった」と説明し、19年7~9月期のLINEペイのマーケティング費用は8億円と大幅に減らした。その結果、LINEペイの月間利用者数は19年4~6月期に490万人だったのが7~9月期には286万人にまで減少した。

LINEは19年11月、ペイペイを手掛けるソフトバンクグループでヤフー親会社のZホールディングスとの経営統合を決めた。LINEペイとペイペイのサービスについても、いずれ統合するとの見方が強い。

オリガミは法人向けに打開策を見いだそうとしていた。19年9月に、同社の決済基盤を企業向けに開放し、独自の決済アプリを開発するサービスを始めた。吉野家やすかいらーくなどが活用を決め、11月にはトヨタ自動車が開発した決済アプリ「TOYOTA Wallet」の一部をオリガミが担うなど、事業者向けに活路を見出しつつあった。

メルカリとメルペイは同日、信金中央金庫と業務提携を結んだと発表した。信金中金はもともとオリガミに出資しており、QRコード決済の加盟店開拓で協力していた。オリガミは今回の買収後にこれまで培ってきた加盟店網をメルペイ側に統合するため、メルカリグループが信金中金との提携関係も引き継ぐ。

信金中金は今後、全国ネットワークを通じてメルカリグループのサービス拡大を支援する。メルカリの利用方法を説明する教室を全国で開催することなどを検討する。メルペイの利用拡大により地方でキャッシュレス化が進展する効果も見込めるという。

オリガミの利用者数は非公表だが、業界関係者によると伸び悩んでいたという。メルカリの利用者数を合わせても大手IT企業のペイメント利用者数を脅かす水準にはならなそうだ。

QRコードを利用する決済サービスを全国的に提供する主要なスマホ決済事業者は10社程度とされる。ペイペイやLINEペイのほか、楽天が手掛ける「楽天ペイ」やNTTドコモの「d払い」など大手IT系の事業者が認知度などで優位に立つ。今後は大手IT系への合流を軸に淘汰が進む可能性がある。

野村総合研究所・金融イノベーション研究部の竹端克利上級研究員は、通信会社や大手IT企業による大規模な還元策を念頭に「収益化が難しい事業者は今後も再編が進む可能性がある」と指摘。その上で「決済サービスだけでなく、保険や証券など決済以外の収益源をどう確保できるかが焦点だ」としている。

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