仏財務相、デジタル課税「撤回ではない」 米と協議継続
【ダボス(スイス東部)=細川倫太郎】フランスのルメール経済・財務相は22日、ムニューシン米財務長官とスイスで会談した。仏が施行したデジタル課税について2020年末までは米企業に課さないことで合意した。だが、会談後、記者団に「撤回したわけではない」などと強調し、慎重姿勢を崩さなかった。米仏は年内は新たな解決策を巡って協議を続ける。

両氏は世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で会談した。ルメール氏は会談後、「共同の枠組みに合意した」と話した。年内は米企業へのデジタル課税は見送り、米国も仏へ制裁は課さない。一方で、ルメール氏は「国際的な解決策が見つからない限りは、(デジタル課税を)撤回はしない」とも述べ、完全な決着にはなお時間がかかるとの見方を示した。
仏では19年7月、一定額以上の売り上げがあるIT大手から売上高の3%を徴税する新法が成立した。国際的なデジタル課税のルールを巡っては、経済協力開発機構(OECD)で20年末までの合意を目指し、協議が進行中だ。仏はOECDで合意されれば撤回に応じる姿勢だが、協議は難航する可能性もある。ルメール氏は「OECDでのルールづくりを明確にする必要がある」と強調した。
グーグルやアップルなど米IT企業は利益の多くを低税率国やタックスヘイブン(租税回避地)にとどめ、実際に事業をしている国々で十分な税金を支払っていないと批判されてきた。このためフランスやイタリアなど各国は公平な税負担を求め、独自のデジタル課税を導入する動きが活発になっている。