世界の民主主義指数、過去最低に 南米や香港の混乱で

【ニューヨーク=後藤達也】英エコノミスト誌がまとめた2019年の世界の民主主義指数が06年の調査開始以来、最低となった。南米で政治の混迷が相次いだほか、香港でデモが拡大したため。エコノミスト誌は「民主主義は逆戻りしている」と指摘する。
エコノミスト誌の調査部門である「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が年に1回、分析している。「選挙運営」「政治文化」などに分類し、合計10点満点で評価している。19年の世界平均は5.44と前年から0.04ポイント低下。調査開始以降で最低だった10年(5.46)を下回った。
特に低下が目立ったのは南米だ。ボリビアでは選挙でモラレス前大統領による不正が発覚し、政治が混乱。ベネズエラは経済政策が破綻し、政治や社会の危機の度合いが強まった。香港のデモの影響も大きく、香港の指数に加え、デモの鎮圧を試みた中国も「政治文化」などの項目で指数が大きく低下した。
指数が悪化した国は68カ国だったのに対し、改善した国は65カ国あった。タイは14年のクーデター後、初めて総選挙が実施され、大幅に改善した。首位だったのは前年に続いてノルウェーで、指数は9.87だった。日本の指数は前年と同じ7.99で24位だった。