11月までに米欧貿易協定 トランプ氏、WTO改革も要求
【ダボス(スイス東部)=河浪武史】トランプ米大統領は22日の記者会見で、欧州連合(EU)との貿易協定を「(11月の)大統領選までに締結できると考えている」と述べ、早期締結に強い意欲を示した。欧州車に追加関税を課すと圧力をかけており、EUは対応を迫られそうだ。中国を発展途上国と扱って優遇する世界貿易機関(WTO)の仕組みを「不公正だ」と批判し、制度改革を求めるとも表明した。
トランプ氏は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加し、帰国前に記者会見した。EUとの貿易交渉は正式協議入りが遅れており、トランプ氏は「EUとはすぐに交渉を開始する必要がある。EUは随所に関税をかけて貿易障壁が高い。中国とビジネスをするよりやっかいだ」と批判した。自動車への制裁関税をちらつかせながら、11月の大統領選前に貿易協定を締結する考えを強調した。
記者会見にはWTOのアゼベド事務局長も同席し、トランプ氏は制度改革を強く要請した。WTOは中国やインドを途上国と扱って優遇措置を認めている。トランプ氏は「WTOの仕組みは米国に極めて不利だ」と主張。アゼベド氏も「多くの分野が機能しておらず、対処が必要だ」と認めた。米国はWTOの紛争解決機関の上級委員会メンバーの選任を拒み、圧力をかけてきた経緯がある。