米弾劾裁判、冒頭から与野党激突
証人招致巡り紛糾  運営規則可決も米社会の分断映す

2020/1/22 17:13
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【ワシントン=中村亮】21日に米議会上院で始まったトランプ大統領を巡る弾劾裁判の審理で、与野党の対立が鮮明になった。裁判の運営規則の採決では証人の招致を巡り議論が紛糾し、超党派でトランプ氏の「ウクライナ疑惑」の真相を解明する機運は極めて乏しい。可決された規則を作成した与党・共和党は証人招致を確約せず裁判の早期終結に布石を打ち、野党・民主党は「疑惑の隠蔽だ」と非難した。

トランプ米大統領は軍事支援の見返りにウクライナに支援を求めた疑いが指摘されている(21日、米ワシントン)=上院TV提供・AP

裁判の運営規則は22日未明、休憩を挟みながら約12時間の審理を経て共和党の全議員53人の賛成で可決した。民主党(無所属を含む)の47人は全員反対に回った。民主党はウクライナ疑惑の真相を知るとされるボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)やマルバニー大統領首席補佐官代行に証言を求めるなど11の修正動議を提出したが、いずれも共和党の反対多数で否決された。

可決した運営規則は最大の焦点である新たな証人の招致を巡り、冒頭陳述や質疑応答を終えた後に判断を先送りするとした。共和党が招致を避けるための布石となり、民主党が強く反発した。共和党は招致を避けて審理が順調に進めば1月中にもトランプ氏の無罪が確定し、裁判は開廷から約2週間で終了するとみているようだ。

1999年のクリントン元大統領の弾劾裁判では超党派で審理を進める機運があった。当時は裁判の運営規則を全会一致で可決した。不倫関係を隠蔽しようとしたクリントン氏の言動を超党派で精査する姿勢を示した。同氏が不倫関係にあった元ホワイトハウス実習生などの非公開証言も実施。陪審員役の上院議員が大統領罷免の賛否を判断する材料となり、裁判は5週間続いた。

トランプ氏は21日、訪問先のスイス東部で記者団に対して弾劾裁判に関し「完全なでっちあげだ」と改めて民主党を批判した。「必ずうまくいく」と語り、無罪判決に自信を見せた。トランプ氏は共和党支持層で9割前後の高い支持率を誇り、上院共和党で同氏の罷免に賛成する議員は現時点でいない。

共和党指導部は党内の結束維持を急ぐ。当初は裁判の冒頭陳述について、検察官役の下院議員と弁護人役のホワイトハウス法律顧問にそれぞれ24時間を配分して2日間で消化するよう求めたが後に修正。3日間で24時間とした。

民主党が2日間の場合に審理が深夜におよび国民の関心が下がると懸念。共和党穏健派が懸念に理解を示し、同党指導部に修正を申し入れた。指導部も証人招致を避けて裁判を早期に終わらせるためには党内の結束が欠かせないと判断し、修正を受け入れた。

民主党は冒頭陳述や質疑応答を通じて共和党の穏健派を切り崩し、証人招致の条件となる過半数の賛成を集める必要がある。共和党からの4人の造反者が必須条件で同党のスーザン・コリンズ氏は21日の声明で「追加情報を得ることは有益だと見込んでいる」と指摘。今後の審理を踏まえ、証人招致に賛成する可能性を示唆した。民主党は今後も穏健派に造反を働きかける構えだ。

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