レバノンで新政権発足 親イラン政党が影響力

2020/1/22 7:52
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レバノンの新首相に就任したディアブ氏=ロイター

レバノンの新首相に就任したディアブ氏=ロイター

【カイロ=飛田雅則】レバノンで21日、ハッサン・ディアブ首相が率いる新政権が発足した。同国では生活改善、汚職撲滅などを訴える政府への抗議デモが続く。経済改革や政治不信の払拭が当面の最優先課題となる。だが、同氏は米国が外国テロ組織に指定するヒズボラなど既存政党の支持を受けており、外国から十分な経済支援を得られるかどうかは不透明だ。レバノンに逃亡した日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告への姿勢が変わる可能性はある。

ディアブ氏は元教育相で、2019年12月、首相に指名されていた。テクノクラート(専門家)が中心の実務内閣だといえる。ディアブ氏は就任後、「この政権はデモの要求に応える」と述べ、市民らが求める汚職の撲滅や経済改革に取り組む方針を強調した。

レバノン政府は19年10月、無料アプリを使った通話に新規課税すると発表したが、若年層を中心に市民が猛反発した。首都ベイルートなどで大規模な抗議デモが起き、政府は課税案の撤回に追い込まれた。当時のハリリ首相が引責辞任を表明し、3カ月近く正式な政権が存在しなかった。

新政権の指導力を疑問視する声は多い。多数の宗教や宗派が共存するレバノンでは大統領がキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンニ派、国会議長はシーア派の出身者が務めることで勢力均衡を維持してきた。

ディアブ氏もスンニ派だが、ハリリ前首相に比べ支持の広がりを欠く。ハリリ氏は新内閣と距離を置く姿勢だ。シーア派政党のヒズボラは軍事部門を抱え、これを米国は問題視している。ヒズボラの軍事組織は米国が外国テロ組織に指定するイラン革命防衛隊の支援を強く受け、中東で最も米国と親密なイスラエルを繰り返し攻撃してきた。

米国はヒズボラが影響力を持つレバノン政府への援助に消極姿勢だ。

ベイルートでは21日、新政権への抗議デモが起きた。閣僚の人選は従来の政府と同様、宗教宗派や政治勢力の既得権益に配慮し、刷新が難しいとの危機感を市民側が強めたためだ。

レバノン経済は危機的な状況だ。国際通貨基金(IMF)は19年の実質成長率を0.2%と推定する。政府債務が膨れ、銀行は預金引き出しに上限を設けた。同国通貨の相場は対ドルで大きく下がり、企業活動や市民生活に打撃を与える。最近ではデモ参加者の一部が銀行などを襲った。デモの長期化が経済の混乱に拍車をかけている。

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