米、欧州車に高関税検討 トランプ氏、貿易交渉要求
【ダボス(スイス東部)=河浪武史】トランプ米大統領は21日、欧州連合(EU)に貿易交渉入りを要求し、合意できなければ欧州車への関税発動を「真剣に検討する」と述べた。中国などとの貿易交渉が一段落したものの、関税政策を手放さず、EUを次の照準として圧力をかける。
スイスでの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加したトランプ氏は21日、EUのフォンデアライエン欧州委員長と会談。ホワイトハウスによると「貿易交渉に向けた実質的な進展を求めた」という。トランプ氏は記者団に対して「欧州とは取引できると思っているが、できなければ(関税発動を)極めて真剣に検討するだろう」と述べ、対EU協定の締結に強い意欲をみせた。
米政権は2019年5月、安全保障を理由に輸入制限できる「通商拡大法232条」を基に、自動車関税の検討に入った。トランプ氏が発動の是非を判断する期限は19年11月だったが、その後も留保したままだ。日本にも自動車関税の発動をちらつかせて貿易交渉を要求し、農業市場の開放などで米政権は一定の成果を得ている。