トランプ大統領の弾劾裁判始まる 政権・民主はや応酬

2020/1/22 5:07
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【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領の弾劾裁判の実質的な審理が議会上院で21日に始まった。弁護人役のホワイトハウス法律顧問は与党・共和党が作成した裁判の運営規則案について「公平だ」と評価したが、野党・民主党は証人招致が確約されていないとして反発した。正式な冒頭陳述は22日に始まる予定で、政権・共和党と民主党の対立が激しくなる。

21日には弾劾裁判の運営規則案の採決に先立ち、ホワイトハウスのパット・シッポローニ法律顧問が「大統領は何も悪いことはしていない」と主張。規則案は新たな証人招致を確約しないが1999年のクリントン元大統領をめぐる裁判のルールを踏襲するものだと説明して「公平だ」と訴えた。

共和党の運営規則案によると、審理ではホワイトハウスと民主党がそれぞれ最大24時間にわたり冒頭陳述を実施し、上院議員との質疑応答に16時間を充てる。質疑応答を踏まえ、上院が新たな証人の招致などが必要かを採決する。招致は不要との結論になればトランプ氏の罷免をめぐる採決に移る。最短で1月中にも判決が下される可能性がある。

民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務(21日、ワシントン)=ロイター

民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務(21日、ワシントン)=ロイター

一方で民主党のアダム・シフ下院情報特別委員長は「今すぐ証人を召喚すべきだ」と反論。トランプ氏が側近の証言に前向きな発言をした映像などを用いて証人招致の必要性を訴えた。民主党の上院トップであるシューマー院内総務はホワイトハウスに追加の文書提出などを求める修正動議を提出した。

過去にはビル・クリントン、アンドリュー・ジョンソン両元大統領が弾劾裁判を受けた。上院(定数100)の3分の2以上が賛成すればトランプ氏は有罪となり大統領を罷免される。これまで大統領が罷免された例はない。

ホワイトハウスは20日、上院に提出した弁論趣意書で、下院が2019年12月に可決したトランプ氏の弾劾決議を「厚かましい」「くだらない」などと非難した。「民主党が証明できたのは大統領が何も悪いことをしていないということだ」と主張し、早期の無罪判決が妥当と訴えた。

これに対し、民主党の検察チームは上院に提出した文書で「トランプ氏の行為は憲法起草者にとって最悪の悪夢だ」と糾弾した。トランプ氏が軍事支援と引き換えに11月の大統領選での支援をウクライナ政府に求めた疑いに関し「権力乱用があったことは明らかだ」と断じた。「大統領選を守らなければいけない」として、トランプ氏の罷免を訴えた。

政権と共和党は裁判で新たな不正疑惑が浮上する事態を懸念し、早期に裁判を終わらせたい考えだ。トランプ氏に近い共和党のリンゼー・グラム上院議員は19日の米メディアのインタビューで「裁判終了は早ければ早いほど国にとって望ましい」と語った。

過去の例ではクリントン氏の裁判が5週間、ジョンソン氏は10週間続いた。政府高官は今回は開始から2週間以内に終わるとの見通しを示す。米調査会社ギャラップによると、共和党支持層でトランプ氏の罷免を求める回答は7%にとどまっており、共和党は同氏の擁護でおおむね結束する。

民主党はウクライナ疑惑の全容が明らかになっていないと主張する。新たな証人招致や文書提出を求め、裁判の長期化を視野に入れる。

新たな証人で念頭に置くのはボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)やマルバニー大統領首席補佐官代行だ。トランプ氏はウクライナ向け軍事支援を停止し圧力をかけ、大統領選で民主党の有力候補であるバイデン前副大統領の不正疑惑に関する調査を同国に促した疑いがある。両氏は支援停止をめぐるトランプ氏の狙いや指示の内容を知るとされる。

新たな証人招致には上院で過半数の賛成が必要になる見込み。共和党は53議席を占めており、招致実現には共和党から4人の造反者が必要だ。米メディアによると、支持基盤が弱い共和党のスーザン・コリンズやコリー・ガードナー両上院議員らは証人招致の可能性を否定していない。ともに11月の上院選を控え、トランプ氏を擁護すれば逆風になると懸念する。

ロイター通信によると、トランプ氏の罷免への賛成と反対はそれぞれ45%で拮抗した。トランプ氏はこれまでに保守派に肩入れした政策を推進し、リベラル派との溝を広げた。

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