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山中氏「先進医療、コストが課題」 ダボスで本社討論会

講演する京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長(21日、ダボス)

【ダボス(スイス東部)=細川倫太郎】日本経済新聞社は21日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせ、ライフサイエンス(生命科学)に関する討論会を開催した。基調講演した京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は、再生医療や新薬開発には「コスト削減と開発時間の短縮が課題」と述べた。参加者からは実現には人工知能(AI)など最先端技術の活用が不可欠との声が相次いだ。

山中氏は冒頭、父親の病をきっかけに医学を志し、のちのiPS細胞の研究にもつながったというエピソードを披露。研究段階から普及期に移りつつあるiPSを用いた医療の臨床研究の事例なども紹介した。

新薬開発について、山中氏は「手ごろな価格」であることが不可欠と強調した。がん治療などで効果的な新薬が次々に登場しているが、高価であることが社会の反発につながり、普及の壁になっているためだ。

山中氏はコスト削減手段として企業との連携をあげた。備蓄したiPS細胞を企業に提供する代わりに、企業からデータをもらうなどの取り組みを進めているという。武田薬品工業との連携などを紹介し「ワンチームになって課題を克服する必要がある」と訴えた。

その後の討論会では、ライフサイエンスの発展にはAIやビッグデータなど技術革新が重要だと訴える声が相次いだ。武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長は「テクノロジーが新薬などの研究開発のスピードをあげ、コスト削減にもつながる」と強調した。

AIを健康分野に活用するNECの遠藤信博会長は「データだけだと意味はないが、きちんと分析することによって大きな価値を生み出す」と述べた。大日本住友製薬の木村徹取締役は「iPSによるパーキンソン病の治療は臨床段階にあり、数年で実用化できるだろう」と指摘した。

再生医療市場は拡大が期待され、各国で開発競争が熱を帯びている。米国などではiPS細胞と同じ万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)を使った再生医療の臨床試験が活発だ。日本の地位は安泰ではなく、官民一体となった取り組みが求められる。

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