業界横断データ活用 共通ルールづくりで遅れ挽回
政府は21日、統合イノベーション戦略推進会議を開き、業界横断でのデータ活用を促す共通ルールづくりを始めた。議長の菅義偉官房長官が首相官邸直轄の作業部会の立ち上げを指示した。アジア各国も含め世界に出遅れるデータの基盤作りを首相官邸が主導し、挽回を狙う。

菅氏は21日の会議で「社会全体のデジタル化に向けた府省横断的な課題について取り組みを加速したい」と述べた。「自動運転」や「物流」などの13分野を中心に2020年度中にも分野を横断した共通ルールの内容をまとめる。業界を越えてデータを統合・分析できるようになれば、質・量が向上する。
アジア各国は日本に先行する。インドは「インディア・スタック」と呼ばれるシステムを立ち上げ、医療情報や銀行の取引明細など多種多様なデータを集める。デジタルIDを持つ人は10億人を超え、データの質・量でデジタル大国に近づく。
シンガポールも全土の地形情報や建築物、社会インフラ情報などを統合し、ネット上で様々なシミュレーションを可能にする「バーチャル・シンガポール」を始めた。世界のスタートアップ企業をひきつける。
データは「21世紀の石油」と称され、米中だけでなくアジアでもデジタルの覇権争いが急速に広がる。政府がデータルールの共通化に乗り出すのはデータをめぐる日本の力を高めるためだ。
合わせてマイナンバーカードの普及も進める。行政手続きや金融取引などで利用されるようになれば様々な情報が個人にひも付き、データの質は格段と向上する。インドなどはあらゆる情報をIDで統合している。