東京製鉄、20年3月期税引き益4%増 一転増益、原料価格低下で

東京製鉄は21日、2020年3月期の単独税引き利益が前期比4%増の160億円になりそうだと発表した。16%減の130億円としていた従来計画から一転、増益となる。原料となる鉄スクラップの価格が下がって採算が改善する。米中貿易戦争による需要伸び悩みや修繕コスト増加などの影響を吸収する。
利益の上方修正を踏まえて、期末配当予想は8円と1円引き上げた。年間配当は前期より2円多い15円とする。
売上高は13%減の1800億円と、従来計画から逆に30億円引き下げた。米中摩擦を背景に自動車や産業機械など国内製造業向けが振るわないためだ。海外の鋼材市況が低迷し、利益が見込みにくい価格での輸出を手控えるのも響く。
同日発表した19年4~12月期単独決算は、税引き利益が前年同期比26%増の133億円だった。鋼材の販売単価は数%下がったが、原料の鉄スクラップ価格が2割超下がり利幅が拡大した。10~12月期は鋼材価格と原料価格の差が4万8800円と、09年1~3月期以来の大きさだった。
記者会見した奈良暢明取締役は20年の鋼材需要について「国内は都市再開発や災害対策などで土木・建設分野を中心に堅調とみている」と説明した。現場の人手不足という制約があるため、需要は一定の水準が緩やかに持続するとした。