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保釈後逃亡どう防ぐ 2月に諮問、GPSや罰則検討

(更新)

森雅子法相は21日、保釈中の被告などの逃亡を防ぐための法改正を2月に法制審議会へ諮問する方針を表明した。日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)の海外逃亡事件を踏まえ、所在を把握する方法として全地球測位システム(GPS)機器の装着や、逃亡した場合の罰則強化などが検討される見通し。再発を防ぐ実効性を持たせられるかが焦点になる。

「GPSを装着して逃亡を防止する制度を含め、幅広い観点から議論してほしい」。森氏は諮問を表明した21日の閣議後の記者会見でこう強調した。

法務省内では2019年中から逃亡防止策の検討が進んでいたが、そのさなかに飛び込んできたのが元会長の逃亡だった。衝撃的な国外脱出を受けて「対策の要として浮上した」(同省幹部)のがGPSの活用だ。

米国や英国、カナダなどでは、保釈中の被告の身体にGPSなどによる追跡装置を装着することが認められている。英国では指定された時間帯やエリアを越えて移動した場合、警察に通報されるという。空港に接近した時に警報を発するシステムが整備されれば、海外逃亡を防ぐ有効策になる。

現行の刑事訴訟法でも、裁判所が保釈条件としてGPS装着を義務付けることは可能だ。ただ、そうした被告を24時間監視し続ける体制を備えた機関はなく、実際に使われたケースはないとみられる。法務省関係者によると、法制審ではGPSによる追跡制度導入の是非のほか、監視体制や情報管理のあり方などが検討課題となるという。

成城大の指宿信教授(刑訴法)はGPSの活用について「装着の必要性を裁判官の裁量に委ねるのか、装着条件を法律であらかじめ詳細に規定しておくのかなど、丁寧な議論が必要だ」としたうえで、「監視体制の構築には膨大な労力がかかる。逃亡防止の効果と見合うのか、冷静な判断も求められる」と指摘する。

法制審では逃亡に関する罰則の新設も議論される。現行の刑法の逃走罪は刑務所などから逃走した場合に適用され、保釈中の被告は対象外だ。保釈中の被告が公判で裁判所の呼び出しに応じない場合にも刑事訴訟法に罰則はない。ある検察OBは「罪に問われないことで『逃げ得』を許している」と話す。

このため法務省は刑法と刑事訴訟法をそれぞれ改正し、保釈中の逃亡などに罰則を科す方向で検討する。捜査幹部は「罰則の対象になれば逃亡した被告に対して指名手配も可能になり、抑止力は大きいだろう」とみる。

法制審での議論とは別に、検察の収容体制の強化も課題だ。裁判所が保釈を広く認める流れは定着しており、01年に12.6%だった保釈率は18年に32.1%に上昇。被告の収容時に検察事務官が取り逃がす事案も出ている。

神奈川県では19年6月、有罪が確定し横浜地検が収容しようとした男が逃走。最高検は19年8月の報告書で警察との連携などを求めたが、同11月には保釈を取り消された被告が護送中に大阪府で逃走する事案も発生した。検察幹部は「確実に収容できるように現場の人員強化を急ぎたい」としている。

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