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タイ反軍野党の解党見送り 憲法裁、国際社会に配慮か

【バンコク=村松洋兵】タイの憲法裁判所は21日、野党第2党で反軍を掲げる「新未来党」の解党を求める訴えを退ける判断を下した。同党には「(国王を元首とする)立憲君主制の転覆を企てている」との疑いがかけられていたが、証拠が不十分とした。欧米諸国は軍主導のプラユット政権による野党弾圧の動向を注視しており、国際社会に配慮したとの見方もある。

今回の憲法裁の判断は、法律家が新未来党の解党を申し立てたことに対して示された。党規約に「国王を国家元首とする民主主義」という文言を使っていないことなどが問題視された。「ロゴマークが欧州の秘密結社に似ている」という理由も含まれていた。

タイ憲法裁判所の判決について記者会見する新未来党のタナトーン党首(21日、バンコク)=小高顕撮影

憲法裁は「立憲君主制を転覆させるような行動はなかった」として解党を見送る理由を示した。証拠が十分にないままに解党を強行すれば、支持者に反発が広がり、街頭デモなどが広がる可能性があった。

新未来党のタナトーン党首は判決後に記者会見し「議会の中で(民主化推進の)選挙公約を実現できるように努力する」と述べた。

新未来党は民政復帰に向け2019年3月に実施した総選挙(下院選、定数500)で民主化を訴えて躍進した。約80議席を持ち、タクシン元首相派とともに野党の中核を占める。徴兵制廃止や軍事費削減を主張しており、軍出身のプラユット首相が率いる現政権から警戒されている。

憲法裁は19年11月にタナトーン党首が総選挙に立候補する際に、選挙法が禁じるメディア株を保有していたとして、同氏の議員資格を剥奪する判決を出している。憲法裁はプラユット政権の影響下にあるとされ、解散命令を出すとの見方もあった。

プラユット政権の野党弾圧に対して欧米諸国は監視の目を向けている。19年4月にタナトーン党首が反体制活動を扇動したとの疑いで警察に聴取を受けた際は、米国や英国など約10カ国の在タイ大使館と国連の関係者が警察署まで訪れて様子を見守った。現地メディアによると、21日にも憲法裁近くには各国の大使館関係者が集まった。

14年の軍事クーデター以降、欧米企業は軍政下のタイへの投資を控えた経緯がある。今回の解党見送りは、米中貿易戦争の影響などでタイ経済が弱含むなか、欧米諸国の批判が強まるのを避けたいという政権の事情もあったとみられる。

だが、解党の危機が去ったわけではない。選挙管理員会は19年12月、タナトーン党首が総選挙の選挙資金として同党に実行した多額の融資が法律違反であるとして、憲法裁に解党を申し立てた。憲法裁は近く審理を始めるもようだ。

チュラロンコン大学のチャイヤン・チャイヤポーン教授(政治学)は「融資問題は立憲君主制の転覆を企てた疑いより、合理的な解党の理由になる」と指摘している。

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