朝日インテク、アジアで医療機器 同業は米中摩擦で苦戦

2020/1/22 6:00
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カテーテル(医療用細管)治療機器メーカー、朝日インテックはフィリピンとタイに新工場をつくり、中国への輸出を増やす。中国市場は年2割ほど伸びているが、米中摩擦で同業他社の米国製品には高い関税がかかっている。アジア発の供給ルートで競争力を高め、連結売上高1000億円を掲げる中期目標の達成に弾みを付ける。

増産するのはカテーテルの挿入を補助する「ガイドワイヤ」など。米中摩擦の影響で、中国政府は米国製品に29%の関税を課している。東南アジア各国で製造している朝日インテックの製品は関税フリーで、価格面で優位に立ちやすい。

中国ではカテーテル治療の市場規模が急拡大している。カテーテルは足などから器具を挿入する。胸などを切る必要があるバイパス手術より患者負担が少なく、入院期間も短い。症例数は年2割のペースで伸び、足元は年96万件と日本の3倍だ。宮田昌彦社長は「数年内に米国を抜き世界最大の市場になる」とみる。

中国需要を取り込むため、東南アジアに新工場を建設し、既存設備を増強する。7月にフィリピン・セブ州の新工場で本格生産を始め、タイ、ベトナムに次ぐ第3の製造拠点にする。投資額は15億円。隣接地では第2工場の建設も進める。

タイの既存工場ではクリーンルームなどを新たに設けて、工程を機械化する。ベトナムでは生産能力を引き上げる。投資額は13億円。

増産対応と価格優位性を生かし、中国での売上高を5年後をめどに160億円以上と、19年6月期から倍増させる計画だ。

世界的な需要増に対応する狙いもある。朝日インテックはガイドワイヤのシェアで中国6割、欧州・中近東5割、米国3割を握っている。一連の投資で生産能力は金額ベースで現状の1.3倍の1000億円規模になる見通し。連結売上高を19年6月期比で7割増の1000億円に引き上げる中期目標の達成に向け、供給面のめどがつく。

米国でも攻勢をかける。代理店に委託していた販売を現地子会社を通じて病院に直販する体制に切り替えた。短時間で手術をしたい現地の医師のニーズをくみ取り、ニッケルチタンという新素材を使った新製品も投入する予定だ。米国のシェア5割を目指す。

■研究開発費の3割、第3の柱育成へ
 カテーテルなどの医療機器、ワイヤー製品を中心とした産業機器に次ぐ「第3の柱」の育成が、朝日インテックの課題だ。宮田昌彦社長は2020年6月期に70億円ある研究開発費のうち約3割を新規分野の開拓に投じる考えを示した。主なやりとりは以下の通り。
 ――市場の先行きをどう見ていますか。
 「国内は医療費の抑制で既存製品の売り上げ増に限界がある。現行の製品でくみ取れていない需要は多く、成長の余地は大きい」
 「日本を含め世界各国の販売員が現地の病院に足を運び、医師らの要望を聞き取っている。需要に基づいた製品を産業機器開発で培った開発力で迅速に形にする」
 ――具体的にどういった製品の開発を進めていますか。
 「遠隔治療機器が実現できないか検討を進めている。カテーテル治療は血管を可視化するために放射線を用いる。被曝(ひばく)を防ぐ鉛が入った作業着の着用欠かせない。医師らの身体的負担は高く、1人の医師が1年にできる治療の回数も限られる」
 「遠隔での治療が可能になれば医師らの負荷が下がるだけでなく、カテーテル治療の普及にもつながる」
(植田寛之)
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