首相、任期内改憲へ岐路 通常国会召集
IR・桜を見る会など関門に

2020/1/20 22:00
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衆院本会議で施政方針演説に臨む安倍首相(20日)

衆院本会議で施政方針演説に臨む安倍首相(20日)

通常国会が20日、召集された。安倍晋三首相は施政方針演説で憲法改正に向けた議論の進展を呼びかけた。首相の自民党総裁としての任期は2021年9月までで、改憲を任期内に自ら実現するには今国会が岐路となる。カジノを含む統合型リゾート(IR)や桜を見る会など、長期政権の緩みから生じた問題が国会運営の関門になる。

衆院本会議場が大きくざわめいたのは首相が憲法改正に触れたときだった。「案を示すのは国会議員の責任ではないか。その責任を果たしていこう」と訴えた。通常国会の冒頭で改憲案に言及するのは18年以来となる。

その18年の通常国会から先送りされてきたのが改憲手続きを定める国民投票法の改正案だ。今国会で成立すれば与野党で憲法論議を進めていく環境は整うが、実現しなければ改憲自体が極めて厳しくなる。首相の任期切れまでに開かれる国会は、今国会を終えるとおそらく2回しかない。

東京五輪・パラリンピックが9月に終われば「ポスト安倍」を目指す動きが活発になるとみられる。政権のレームダック化を避けるためにも国民投票法改正案を成立させ、改憲に取り組む姿勢を維持する必要がある。

当面は景気対策で「15カ月予算」を組んだ19年度補正予算案の月内成立と、20年度予算案の19年度内成立に全力を挙げる。首相は「自然災害からの復旧に加え、海外発の下方リスクにも万全を期す」と理解を求めた。法案審議が本格化するのは予算案成立後になる。

今国会会期末は6月17日で、その後に東京都知事選挙と五輪を控える。政府・与党は会期延長は難しいと、政府提出法案数は過去最少水準の52本に絞った。与野党が真っ向から対立するような法案は見当たらない。与野党で憲法を論議しやすくするためでもある。

外交はプラスに働くとみる。首相は習近平(シー・ジンピン)国家主席の国賓来日が予定される中国に関して「新時代の成熟した日中関係を構築する」と述べた。北朝鮮による日本人拉致問題解決やロシアとの平和条約締結、中東での橋渡し外交への意欲も示した。

立憲民主党など野党4党は20日、IR整備推進法の廃止法案を国会に提出した。IR参入を巡る贈収賄事件の解明と、首相主催「桜を見る会」の問題などを追及する構えだ。桜を見る会を巡っては招待者名簿を公文書管理法が定める手続きをとらずに廃棄していたことが1月に発覚している。首相は演説でいずれの問題にも触れなかった。

首相は12日のNHK番組で「解散すべき時が来たと思えば躊躇(ちゅうちょ)はない」と語った。改憲が進展しないと判断して衆院解散に踏み切ることも、任期満了まで見送ることも可能だ。解散カードを握りつつ、景気と憲法、与野党の動きを見極める国会となる。

■政府提出法案、デジタル・社会保障改革に重点

政府はデジタル化や社会保障制度改革に対応する法案に今国会の重点を置いた。次世代通信規格「5G」通信網整備を促す法案は情報漏洩に対する安全性を減税などの要件とする。中国企業への規制強化を求める米国と歩調を合わせる新法だ。

巨大IT(情報技術)企業に契約条件の開示や運営状況の報告を義務づける「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」(仮称)も提出する。消費者や中小企業の保護を目的としている。キャッシュレス決済の普及に向け、少額決済サービス提供に必要な資本金などの規制を緩和する割賦販売法の改正も目指す。スタートアップ企業の参入をしやすくする。

社会保障制度の支え手を増やすため中小企業のパート労働者に厚生年金加入を義務付ける年金改革法案も準備している。国家公務員の定年を現在の60歳から段階的に65歳まで延長する法案や、希望する人が70歳まで働けるよう企業に努力義務を課す法案も用意する。

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