カナダ、ファーウェイ幹部審理開始 米への引き渡し焦点
2018年12月にカナダで逮捕された中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の米国への身柄引き渡しの可否を判断する審理が20日に始まる。カナダ当局は米国の要請を受け孟氏を逮捕した。同氏の逮捕はハイテク分野で主導権を争う米中対立の象徴とされ、審理の行方が注目される。
カナダ当局は香港からメキシコに向かう途中の乗り継ぎ地点だったバンクーバーで孟氏を逮捕した。米国はその後、イランとの違法な金融取引に関わった罪などで孟氏を起訴し、カナダに送致要請を正式送付した。孟氏の弁護団は米側の政治的な意図に基づいた不当な訴追だとして無罪を主張。孟氏は現在保釈され、バンクーバーの自宅で生活している。
審理では、米国の起訴内容がカナダの法律でも違法とみなされるかどうかが争点となる。カナダでは、同国の法律で違法とみなされない限り、身柄を他国に引き渡すことを禁じている。
逮捕時の手続きが適切だったかどうかも焦点。カナダでは逮捕や拘束する際、逮捕の理由や弁護士を呼ぶ権利について説明を受ける権利が法律で定められている。孟氏側はそういった説明なしに拘束され、人権が侵害されたと主張している。
中国外務省の耿爽副報道局長は20日の記者会見で「米国とカナダは双方の引き渡し条約を乱用し、中国の公民の合法的な権益を侵犯している」「早期に孟氏を釈放し中国に無事に帰国させることを求める」と述べた。
米中は15日、貿易交渉を巡る「第1段階の合意」に正式署名した。米国は安全保障上の懸念があるとしてファーウェイに対する圧力は緩めておらず、事実上の禁輸措置を継続している。次世代通信規格「5G」などハイテク分野を巡る米中の主導権争いが背景にある。