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中部さん、アドレスってそんなに大事ですか?(上)

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2020/1/28 3:00
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 「アドレスこそゴルフの基本であり、ゴルフのすべてだ」とアドレスの重要さを亡くなるまで説いた中部銀次郎さん。それはなぜなのか? もっともっと知りたいと、天国でゴルフを楽しんでいる中部さんに詳しく聞いてみた。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ VOL.45」から)

なかべ・ぎんじろう 1942年2月16日、山口県下関市生まれ。2001年12月14日逝去。10歳のときに父の手ほどきでゴルフを始め、高校時代からゴルフ界で頭角を現し、甲南大学時代の62年に日本アマチュア選手権で初優勝。以来、64、66、67、74、78年と計6度の優勝を成し遂げる。

──中部さん、天国のゴルフはどうですか?

中部 毎日、天気もいいし、暖かいし、最高ですね。青い空、緑の芝。きれいな花々がいつも咲き乱れていましてね。とにかくコースがこの世のものとは思えないほど美しいんです。もちろん、ここは天国ですからね、この世じゃないからそうなのかもしれないけれど、毎日、こんな美しいコースでプレーできて幸せですよ。

──ゴルフ友達も増えたでしょう。

中部 そうそう。僕のゴルフのことを書いてくれていた杉山通敬さんも10年ほど前にやってきて、彼ね、下界にいたときは下手くそだったけど、ペンを置いたからゴルフの呪縛が解けたのか、ものすごくうまくなりましたよ。鍋島直要もその年の秋やってきましてね。彼は下界にいた頃よりも若返って、若い頃の飛距離に戻ってしまって、参っています。

──楽しんでゴルフをされているのが目に浮かびます。ところで、中部さんや杉山さんに大変お世話になってきたこの「書斎のゴルフ」で、読者の皆さんからもう一度中部ゴルフの基本をやってほしい、という要望が強くありまして、そこで息子さんの隆さんが中部さんから預かっていたノートを基にお話をお聞きする形でまとめることにしました。中部さんがゴルフをする中で最も大切にしていたアドレスについてです。

中部 いいですよ。天国でゴルフをしていても、やはり大切なのはアドレス。アドレスが正しくできていなければ良いショットにはなりにくい。下界にいるときも常にスクエアアドレスがきちんとできるようにと、食事をしているときでも酒を飲んでいるときでも背筋を伸ばすようにして、下半身と上半身がねじれないように体全体を真っすぐに向けていましたが、天国でもやっていますよ。もう癖になっているというか、生活習慣になっているというか。それでもいざゴルフをする段になるとうまくアドレスが取れないこともある。こればかりは永遠に難しいことですね。

──そうですか。天国ではいつでもばっちりと正しくアドレスが取れて、いつでもナイスショットが打てているのだと思っていました。

中部 私もそう思っていたんですね。甘くなかったというか、逆にゴルフっていうものは正しいアドレスが思ったように取れないから面白いんです。ナイスショットが放てたときはうれしいけれど、ミスショットしたときもそれがどうしてなのか、何が悪かったのか、それを考えることもまた楽しい。ナイスショットばかりだったら飽きてしまうでしょう。ミスショットがあるから楽しいわけで、天国に来てからそれがよくわかりました。

──ボビー・ジョーンズは「勝った試合からは何も学ぶところがない。負けた試合から大切なことを学んだ」と言っていますが、中部さんにすれば「ナイスショットからは学ぶことはない。ミスショットから学ぶことがある」ということになりますね。

中部 そうそう。それでね、やはりミスショットのほとんどはアドレスに起因しているんです。それとスイングのリズムとテンポがいつもと違うとき。この2つですね。

──スイングについては、別の機会に詳しくお聞きしようと思っておりまして、今回はアドレスに絞ってお聞きしたいのです。中部さんは「アドレスに始まり、アドレスに終わる」と言われていますが、なぜアドレスを正しく取る必要があるのでしょう。

中部 ゴルフはスコアを競うスポーツですよね。よいスコアを出そうと思ったら、狙ったところにボールを飛ばせることが大事なわけで、そのためには体の方向を狙ったところへ飛ばせるように向けることが一番です。それには一定の基準を作ることが大事なわけで、体の方向が打つたびに違っていてはいつでも目標に向かって打つことが難しくなるでしょう。

──確かにそうも思うのですが、テニスでは体の向きに関係なく、狙ったところに打つということができます。逆に体の向き通りにボールを飛ばしていては、相手に打つコースを読まれてしまうので、体の向きとは逆に打つこともあります。

中部 もちろん、ゴルフでも体の向きなどに関係なく、狙ったところにボールを飛ばせればいいわけですが、テニスとは違ってゴルフではそれがかなり難しい。というのは、テニスはラケットの面通りにほぼボールが飛びますが、ゴルフではクラブフェースの面の向き通りには飛んでいってくれません。ボールに回転がかかって、まったく逆の方向に飛んでいってしまうこともあります。狙ったところに打とうと思っても打てないのがゴルフなのです。

──本当にそうですね。打ったあとはもうボールに聞いてくれというのがゴルフですね。だから難しい。

中部 私だって打ったあとはもうボール任せです。目標に打とうとして目標へ振っても、目標にボールが飛んでいってくれないのがゴルフです。ですから、唯一自分でチェックできるのがアドレスなわけで、あとはもう振るだけです。テークバック、トップなどもやろうとすればチェックできますが、それもアドレスで決まってしまいますし、トップからのダウンスイングやフォロー、フィニッシュもどう取っていくかということはあるにはありますが、もはやコンマ何秒という世界ですから、いろいろ考えても仕方ありませんし、実際にそれができるわけでもありません。なので、アドレスがスイングを決めると思っていいわけです。

──ライフル競技でも、狙いを定めたら、あとは引き金を引くだけ。それと同じですね。

中部 まずはきちんと狙いを定める。その狙いに合わせてアドレスする。それが良いスイングを生み出し、ナイスショットを生み出し、狙いにボールを飛ばすということになるわけです。だからこそアドレスが最も大切なのです。

狙ったところへ打つにはアドレスで方向を定める

──ということは、まず体の向きが大切になりますね。

中部 そうです。ゴルフでは目標に対して体を横向きにしてボールを打ちます。こういう動作は非常に少ないため、なかなかうまくできません。慣れる必要があります。どう構えるかという知識がなければ目標に対して正面を向きやすいし、飛球線に対して平行に構えてと言えば目標よりも右に向きやすいものです。

──目標とボールを結んだ飛球線に対してスタンスを平行にして構えるのがスクエアアドレスを作る基本といわれて、そう構えているつもりでも、実際は右に向いている人が非常に多いですよね。

中部 スクエアアドレスは私も実践していて、それが目標に飛ばすための最善のアドレスだという認識があります。スクエアアドレスは、スタンスの前にまず、目標とボールを結ぶ飛球線に対してフェースの向きを直角にすることが第1です。ここを直角にするからこそスクエアなのです。フェース面を目標に向けていなければ狙いを定めることにはならないでしょう。

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