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金関連投信に関心じわり 相場波乱に備える選択肢

QUICK資産運用研究所 清家武

金の現物は希少性が高いが、投資信託などを通じて金価格に連動した運用はしやすくなっている(写真はイメージ)=PIXTA

金関連の投資信託にじわりと関心が集まっている。世界景気の減速懸念や地政学リスクへの警戒感から安全資産としての金の特徴が注目されて金価格が高値圏で推移し、金関連投信の運用成績も堅調なためだ。2020年の金融市場は先行き不透明感が拭えないことから、金関連投信は資産分散先の選択肢として存在感が高まりそうだ。

金相場は約7年ぶりの高値圏

国内公募投信のうち金関連投信の資金流出入額をみると、19年12月は約42億円と4カ月連続で流入超となった。17年1月以来およそ2年10カ月ぶりの高水準だった11月とほぼ同じ額で、関心を持つ投資家が増えていることがうかがえる。大きな理由として挙げられるのが金価格が上昇していることだろう。

ニューヨーク金先物価格は18年半ばから上昇基調に転じ、20年1月初めに一時1トロイオンス1600ドルを上回る約7年ぶりの高値となった。上昇が加速したのは米国が「対中制裁関税第4弾」の方針を打ち出したのをきっかけに世界景気の減速懸念が強まったほか、年明け以降は米国・イラン関係が緊迫したためだ。投資家のリスク回避の動きが広がり、株式とは逆の値動きをする傾向のある金に投資資金が集まった。米国など主要国の金利が低下傾向にあることも金相場の追い風となっている。

金価格の上昇とともに金関連投信の値上がりも拡大している。金関連投信には大きく分けて2つの種類がある。1つは金の先物やETF(上場投資信託)、連動証券などに投資する「金価格連動投信」で、金価格との連動性が高い。もう1つは金の採掘や精錬などを手掛ける企業の株式に投資する「金鉱株投信」。カナダ、オーストラリア、米国などの金鉱企業を組み入れている。こうした企業の株価は金相場に連動する傾向があり、金価格の上昇・下落幅に比べ大きく動きやすい。

下の表はETFを除く追加型株式投信で金関連の投信を純資産残高でランキングし、価格騰落率などをまとめたものだ。残高首位は「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)」で、投資信託証券への投資を通じて米ドル建ての金価格に連動する。19年は14.3%値上がりした。残高2位の「三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)」は金価格に連動するETF「純金上場信託(愛称:金の果実)」に投資し、過去1年間で15.16%上昇した。このETFは現物の金の裏付けがあり、国内取引所の金価格を反映する。

金鉱株投信、値動き大きく

値上がり率の大きさが目立つのが金鉱企業に投資する投信で、残高3位の「ブラックロック・ゴールド・ファンド」や6位の「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンBコース」の過去1年の上昇率はいずれも30%に迫り、ニューヨーク金先物の上昇率(20%弱)を上回る。組み入れている金鉱企業の株価は金相場が上昇すれば金価格より大きく上昇し、金相場が下落すれば大きく下落する傾向があるためだ。

これは金鉱企業の収益構造に秘密がある。金鉱企業の売上高は金価格にほぼ連動して増えたり減ったりする。一方、コストの大部分は大規模な採掘機械を購入した費用(固定費)の減価償却費であり、コストは長期間にわたっておおむね一定の金額になる。この結果、金価格の上昇とともに売上高がコストを大きく上回ると利益は拡大し、金価格の下落とともに売上高がコストを大きく下回ると収益が悪化する。

こうしたことから金鉱株投信の値動きは大きくなりやすい。前出の純資産残高ランキングで価格変動リスクの大きさを示す標準偏差をみると、金鉱株投信は22~23%程度と金価格連動投信(8~10%程度)に比べ2倍以上大きい。金価格が大きく上昇した19年は金鉱株投信の運用成績が金価格連動投信より良かったが、金価格が大幅に下落した13年は運用成績の悪化が目立つ。

金価格の上昇要因を整理すると(1)価格変動はあっても価値そのものはなくならないため景気懸念や地政学リスクが高まるときに安全資産として買われやすい(2)金利が付かないため米国など主要国の金利が低下すると相対的に価値が高まる(3)米国の金利が低下すると一般的に米ドル安となり代替投資先として買われやすい――といった3点となる。

リスク許容度踏まえて投資判断

世界の株式相場は20年初めに米・イラン関係の緊迫化をきっかけに急落した。全面的な軍事衝突をひとまず回避したことから世界株は再び堅調に推移しているが、早期に米・イラン関係が改善することは予想しづらい。

米中貿易交渉についても米中両国は1月15日に「第1段階」の合意に署名したが、米国側は合意が守られなければ制裁関税を再発動するとしている。世界の株式相場が米中対立の激化による景気懸念から乱高下するシナリオも想定でき、金関連投信は資産分散先の選択肢になりそうだ。

ただし景気懸念や地政学リスクが後退したり、金利上昇や米ドル高の局面になったりすると金価格は下落し、金関連投信も値下がりしやすくなる。値動きは大きく、元本保証ではないことにも注意が必要だ。個人投資家は自分のリスク許容度をよく踏まえたうえで投資判断をすることが重要だろう。

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