「安全通貨」円が変質? 市場緊迫でも上がらない理由

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2020/1/19 2:00
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円の「安全度」は低下したのだろうか=ロイター

円の「安全度」は低下したのだろうか=ロイター

市場でリスク回避ムードが強まると買われる――。そうした円の特質が薄れてきたとの声が聞かれる。1月上旬、米国とイランの軍事的な緊張で市場が荒れたときも、円高・ドル安は限定的だった。マネーの逃避先になりやすく、「安全通貨」と目されてきた円。「安全度」が低下したとしたら、理由は何か。

「米トランプ大統領の指示にも驚いたが、円相場があまり動かなかった点も印象的だった」。日本の通貨当局内で聞いた声だ。

米国防総省は2日、大統領の指示を受け、イラン革命防衛隊の精鋭組織の司令官を殺害したと発表した。地政学的なリスクの高まりで、3日の米ダウ工業株30種平均が一時、前日比360ドル超下落。安全資産の金も約4カ月ぶりの高値をつけた。円も買われたものの結局前日比わずか50銭程度の円高で取引を終えた。

7日にはイラクにある米軍基地がイランから報復攻撃を受けたとの発表があった。8日の日経平均株価の下げ幅は一時600円を超えた。だが東京市場の円はむしろ下落して取引を終えた(グラフA)。

単純比較はできないが、過去と異なる光景だ。2008年のリーマン・ショック、11年の東日本大震災、16年の英国の欧州連合(EU)離脱決定――。ショックが走るとマネーが円に逃げた。英国のEU離脱が決まった日に日経平均は1200円超下落。円の対ドル相場は一時5円上がった。

■デフレが生んだ奇妙な現象

一体何が変わったのか。

まずは、長年デフレに苦しんできた日本の通貨が「安全通貨」と目されてきた奇妙な現象の理由を考えてみよう。実はデフレ通貨だからこそマネーの逃げ場になってきた面がある。

そもそも物価と通貨価値は反比例する。物価が下がればより少ない額のお金で物やサービスを買える。つまり通貨の購買力は上がる。不安心理が広がる局面でそうした「実力」のある通貨を持ちたいとの心理が働いても不思議はない。

デフレの国は普通、金利が低い。これも円が「逃避先」になることと関係がある。仕組みはこうだ。

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