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日本一のバレンタイン商戦 脱恋愛でお一人様に照準

名古屋市内の百貨店でバレンタイン商戦が火蓋を切った。今年の特徴は「脱・恋愛依存」。かつては若い女性から男性への愛の告白と共に渡されたチョコレートだが、今は自分へのご褒美に買う人が増えた。男性客の増加も目立ち、バレンタインはチョコを楽しむ季節のイベントへと様変わりした。各ブランドや百貨店は工夫を凝らし、客の取り込みを狙っている。

「ただ今シェフが来場中です」「新作ご紹介しております」

16日午前、名古屋駅前のJR名古屋高島屋でバレンタイン催事「アムール・デュ・ショコラ」の先行販売会が開かれた。国内外の有名シェフ約25人が集まり、3800人の招待客が押し寄せた。

同店の2019年のバレンタイン売上高は27億円と、10年連続で全国の百貨店の日本一に輝いた。今年は初登場を含め約150ブランドを展開し、売り場は5フロアに拡大した。シェフらは自身の店のブースで写真撮影やサインに応じ、互いに新作を披露するなどしてしのぎを削り合う。

同店の意識調査によると、チョコの贈り先を「自分用」と答えた人は46%で最多。2位は「家族」で26%、「本命」は15%にとどまった。バレンタインを「恋愛のイベント」と答えた人は5%にすぎなかった。客の年齢層や目的が多様化し、イベントそのものを楽しむ人が増えている。

招待客で混雑する「アムール・デュ・ショコラ」の会場(16日、名古屋市中村区)

実際、名古屋市在住の坂江里加さん(28)は16日、自分用のチョコを購入するため訪れた。「毎年新作を楽しみに来ている。誰かにあげるというよりは自分買いです」。豊明市の寺地梨紗さん(38)も「家族5人で食べるので、他の人にあげる分がない」と話した。

栄地区の松坂屋名古屋店も16日、7階の催事場で「ショコラプロムナード」を開始した。ともに2月14日までのロングランだが、生チョコやバウムクーヘンなどはバレンタインデー当日まで賞味期限がもたない。お一人様や家族で、バレンタインデーに限らずチョコを味わいたいとの考えが広がっている。

男性客も増えた。西尾市在住の会社経営の男性は「家族とスタッフ用に買いに来た。チョコレートは自分も大好きです」と話した。JR名古屋高島屋のバレンタイン催事に訪れた男性客は19年で前年比2割増え、今年は男性バイヤーが担当した。期間中は会社帰りのサラリーマンの姿も多く見られるという。

招待客で混雑する「アムール・デュ・ショコラ」の会場(16日、名古屋市中村区)

地元のアピールも欠かせない。名古屋市出身でパティスリー・サダハル・アオキ・パリの青木定治氏は「日本一熱いイベントなので地元食材に力を入れた」と話す。今年は愛知県半田市の梅酒を使った大人の味のトリュフを披露。名古屋の人気洋菓子店「シェ・シバタ」の柴田武氏は「ショコラを通じて地元の魅力を世界に伝えたい」と語り、期間中は毎日店頭に立つ予定だという。

イベント自体を楽しんでもらうため、食べ歩きスイーツにも力を入れる。JR名古屋高島屋は過去最多の9ブランドが出来たてメニューを提供。松坂屋名古屋店はパフェやソフトクリームを5種類以上そろえた。29日から「サロン・デュ・ショコラ」を開催する名古屋三越栄店は、持ち帰り用のジャン=ポール・エヴァンのマドレーヌやバビのバスクケーキを販売する。

一方、名鉄百貨店はバレンタイン催事を開催していない。15年以降、代わりに物産展「全国逸品うまいものまつり」を続けており、顧客層の違いなどから他店との差異化を図る。少子化や晩婚化を背景に、バレンタイン商戦は多様化してきた。各社は商機をつかもうと知恵を絞っている。

(林咲希)

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