プーチン氏、憲法改正提案 首相・閣僚 議会に決定権

ヨーロッパ
2020/1/15 22:09
保存
共有
印刷
その他

年次教書演説をするロシアのプーチン大統領(15日、モスクワ)=AP

年次教書演説をするロシアのプーチン大統領(15日、モスクワ)=AP

【モスクワ=小川知世】ロシアのプーチン大統領は15日、今後の施政方針を示す年次教書演説を行った。「政治システムを大幅に改革する」と表明し、議会の権限強化に向けた憲法改正を提案した。首相や閣僚を決める権限を大統領から議会に移すことなどが柱となる。地方知事らで構成し国家の基本方針を話し合う国家評議会の制度化も目指す。2024年の大統領の退任に伴う体制移行後も、権力を維持する「院政」へ布石を打つ狙いとみられる。

モスクワで政権幹部や上下両院の議員らを前に演説した。プーチン氏は憲法改正の必要性について「現行憲法は25年以上前、深刻な政治危機のなかで採択された。当時から状況は大きく変わった」と指摘した。

政治システムを変革するための憲法改正案は、(1)首相や閣僚を決める権限を大統領から議会に移す(2)国家評議会の役割と地位を定める(3)大統領の任期を2期に制限する――などが柱だ。国民投票で最終的に決定するとして、幅広い議論を呼びかけた。

現行のロシア憲法で、首相は大統領が提案し、議会の同意を得て任命する。閣僚は首相が提案し、大統領が任命する。今後は首相と閣僚人事の決定権が議会に移ることになり、プーチン氏は「大統領は拒否できない」と明言した。

演説では、国家評議会の役割と地位を憲法に明記することも提案した。国家評議会はプーチン氏の大統領令により2000年に創設された大統領の諮問機関だが、憲法改正後は国のあらゆる分野の基本方針を協議する強力な国家機関になる可能性がある。

憲法改正で下院議会や国家評議会の権限を強め、大統領の退任後にプーチン氏が自らがこうした組織のトップに就いて権力を行使し続ける構想を描いている可能性がある。さらに大統領任期を「連続2期」までとしている憲法の規定から「連続」を削除することも示唆しており、プーチン氏に代わって長期政権を築く新たな権力者が現れることも阻める。

プーチン氏はまた、演説で「国際法はロシア憲法に矛盾しない限り有効だ」とも述べ、ロシアの主権や国民の権利を守るために、自国憲法を優先する考えを強調した。大統領に就任できる資格については、国内での居住年数を現在の10年から25年以上に引き上げる意向を示した。

今回の年次教書演説は前半に内政課題に対する解決策を重点的に語った。外交政策についてはほとんど話さず、日ロ間の懸案である平和条約交渉や北方領土問題への言及もなかった。

内政では少子化対策や貧困層への支援強化などを指示し、予算を拡充する方針を表明した。外交は「地域対立が全世界に影響しうる」などと懸念を示し、安全保障の強化を確認するにとどめた。

憲法改正に力点を置いた背景には政権が不安定化することへの危機感がある。年金受給開始年齢の引き上げ決定を機に18年に8割から6割台に落ちた支持率の回復は鈍い。実質所得は伸びず、政府が定める必要最低限の生活費を下回る収入で暮らす貧困層は19年9月時点で人口の約13%と高止まりしている。

生活向上の実感が得られずプーチン氏の長期統治に対する国民の不満が膨らみ、19年には反体制派野党が呼びかけた抗議デモが近年最大規模まで膨らんだ。プーチン氏が00年に大統領に就任してから20年が経過する。24年に任期満了がせまるなか、権力移行をにらんだ統治体制の改革に踏み切ったとみられる。

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]