地方景気に海外減速の重荷 日銀報告、3地域判断下げ

2020/1/15 19:55
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地方の景気回復の足どりが鈍ってきた。日銀は15日に公表した1月の地域経済報告(さくらリポート)で、北陸、東海、中国の3地域について景気の総括判断を引き下げた。米中貿易摩擦による世界経済の減速や台風被害の影響で、製造業の生産活動が落ち込んだのが大きい。消費増税も個人消費への逆風となっており、景気の先行きは楽観できない状況だ。

日銀は同日開いた四半期に1度の支店長会議で全国各地の景気動向を議論し、さくらリポートをまとめた。全9地域のうち、総括判断を3地域で引き下げたのは2019年4月以来だ。北陸は19年4月、東海は16年10月、中国は18年10月以来の下方修正になった。9地域とも景気は「拡大」ないし「回復」との表現を残したが、総じて減速感がにじむ結果になった。

項目別にみると、目立ったのが生産の不振だ。景気の総括判断を下げた3地域に北海道、東北、関東甲信越を加えた計6地域が生産の判断を下方修正した。

米中貿易協議は19年12月に第1段階の合意に至ったが、それまでの制裁関税の応酬が世界的な貿易の停滞を招き、国内各地の生産の落ち込みにつながった。日銀の本支店などが企業に実施した聞き取り調査でも「取引先の販売が低調で自動車部品の生産は減少を続けている」(横浜の輸送用機械)との声が上がった。

さらに生産低迷に拍車をかけたのが、19年10月の台風19号の浸水被害で生じた一部工場の操業停止だ。企業からは「操業停止中に納入先がサプライチェーン(供給網)を見直し、被災前の生産水準に回復するのは難しくなった」(福島の精密機械)との声も出た。

消費増税の影響が注目された個人消費については、全9地域が判断を据え置いた。ただ、増税前の駆け込み需要と反動減で「振れ」が生じたとの指摘が増えている。

企業の見方も「今のところ消費者マインドの悪化や実質所得減少の影響はさほど感じられない」(高知の商業施設)との声がある一方、「新車登録台数は増税後に大きく減少している」(金沢の自動車販売)との指摘もあり、まちまちだ。台風や暖冬など天候要因もあり、消費の基調は読み取りづらくなっている。

設備投資は全9地域が判断を変えなかった。「電気自動車向け新製品の生産能力を増強する」(札幌の電気機械)との声が上がるなど、成長分野への投資意欲は衰えていない。非製造業では人手不足に対応した省力化投資も活発だ。

日銀は今回の結果も踏まえ、20~21日に開く金融政策決定会合で景気の現状や先行きを議論する。政府がまとめた大型の経済対策が支えになり、景気の緩やかな拡大基調は続くとの見解を維持する公算が大きい。ただ、米中対立の緩和を踏まえた輸出・生産の持ち直しや増税後の消費回復など、景気の腰折れ回避の前提には不確実な面が残る。日銀も景気下振れへの警戒モードを解けない状況が続きそうだ。

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