芥川賞に古川真人氏、直木賞は川越宗一氏

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2020/1/15 18:07 (2020/1/15 21:14更新)
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第162回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は古川真人氏(31)の「背高泡立草(せいたかあわだちそう)」(「すばる」10月号)に、直木賞は川越宗一氏(41)の「熱源」(文芸春秋)に決まった。

贈呈式は2月下旬に都内で開かれ、受賞者には正賞の時計と、副賞100万円が贈られる。

古川氏は福岡市出身。横浜市在住。2016年に「縫わんばならん」で新潮新人賞を受賞しデビューした。芥川賞には4度目の候補で受賞が決まった。

受賞作は、長崎の島を舞台に、ある納屋の草刈り作業の描写を通じ、家族の系譜を描き出す物語。満州(現中国東北部)での出稼ぎや過疎化の歴史をたどるなど、日常の風景に隠された社会的な問題を浮き彫りにする。

古川氏は記者会見で「鈍重でも、作品を読んでほしい人にとっくりと伝わる書き方しか自分には向いていない」としつつ、今後については「書きやすいものを延々と書いてしまうことを恐れている。不慣れなものを書きたい」と抱負を語った。

選考委員の島田雅彦氏は古川氏の作品について「その土地に根付いた歴史的重厚性をすくいあげ、草刈りという単調な作業を描く中で時空を超えた複層性が入ってきた点が評価の対象となった」と語った。

直木賞に決まった川越氏は大阪市出身。京都市在住。18年に「天地に燦(さん)たり」で松本清張賞を受賞しデビューした。直木賞には初めての候補で受賞が決まった。会社員として勤める傍ら、小説を執筆している。

受賞作は明治期の樺太(サハリン)を舞台とする。大国の辺境政策に翻弄される樺太アイヌの人たちやポーランドの民族学者らの群像劇で、横暴な「文明」に立ち向かう姿を力強く描いた。

川越氏は「ルーツの違う人たちの融和や対立のドラマに興味がある。国家や集団の葛藤は今後もテーマになる。自分の力を信じ、期待に応える作家活動をしていければ」と語った。

選考委員の浅田次郎氏は「近年まれに見る大きなスケールで小説世界をつくりあげ、登場人物も生き生きと描かれている」と評した。

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