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世界三大奇虫ヒヨケムシ 目にも止まらぬ超高速攻撃

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

ライオンやチーターが駆け回るアフリカのサバンナだが、この小さなハンターも壮絶な狩りを繰り広げている。ヒヨケムシだ。世界三大奇虫の一つと紹介されることもある珍しい生物だ。

ヒヨケムシは英語でウインド・スコーピオン(風のサソリ)やキャメル・スパイダー(ラクダグモ)と呼ばれるため、よく間違われるが、クモでもサソリでもない(もちろん、ラクダでもない)。ヒヨケムシはクモ綱のうち、ヒヨケムシ目というグループに属している。

巣は張れないし、毒液も出せない。だがスピードは驚異的で、ぎざぎざした特大の顎で小型のトカゲを難なく真っ二つにできる。

動画が撮影されたのは、南アフリカ共和国のクルーガー国立公園に隣接するロンドロジー動物保護区。サファリツアーを案内していたガイドのガイ・ブランスキルさんが、格闘中のヒヨケムシを見つけ、すぐに自分のカメラを取り出した。

意外に思うかもしれないが、ブランスキルさんの動画は早送りはしていない。ヒヨケムシの実際の速さだ。

ヒヨケムシの武器はスピードだけではない。のこぎり状の顎も備えており、大きいもので体長の3分の1にもなる。顎の縁には鋭い突起が並び、シロアリやその他の節足動物はもちろん、小型のトカゲを覆う硬い外皮も引き裂くことができる。

ヒヨケムシは並外れたスピードで獲物を不意打ちし、相手をしっかりつかむと、強力な顎でばらばらにする。

ブランスキルさんは、今回目撃したシーンをブログ記事で取り上げ、ヒヨケムシの狩りの能力を賞賛している。「この小さくて独特な虫に、誰もが強く興味をそそられます。獲物をスピードで圧倒できるよう、どんなふうに適応を遂げたのか……」

気持ち悪いと感じる人もいるかもしれないが、このような映像は科学にとって重要な役割を果たす。ヒヨケムシをありのまま撮った映像があれば、あまり目にすることのないこの生物の行動に関して、科学者たちが自らの仮説を検証する助けになる。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年7月5日付記事を再構成]

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