南北協力、独自再開を模索 韓国大統領が会見 米は難色

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2020/1/14 18:37
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【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日、大統領府で記者会見し、膠着状態の南北関係について「米朝対話を見守るだけでなく、南北でできることは最大限協力する必要がある」と指摘した。韓国人による北朝鮮観光などの南北協力事業を韓国独自の判断で再開する考えだが、北朝鮮の非核化を巡る交渉での足並みの乱れを警戒する米国は難色を示している。

14日、大統領府で記者会見する韓国の文在寅大統領=ロイター

北朝鮮は2019年2月のハノイでの米朝首脳会談が決裂して以降、韓国の呼びかけに無視を決め込む。18年9月の南北首脳会談で条件が整えば金剛山観光と開城工業団地を再開すると合意したにもかかわらず、韓国が米国と足並みをそろえ、行動しないことにしびれを切らしているからだ。

会見で文氏は、米朝対話が暗礁に乗り上げたことで「南北関係を増進させながら米朝対話を促す必要が高まった」と指摘した。「南北関係は我々の問題。もう少し主体的に発展させる意思を持つべきだ」とも強調した。

文氏は南北協力事業の例として、北朝鮮への経済制裁に抵触しない観光や、東京五輪の共同入場と単一チーム構成、32年の五輪共同開催構想の具体的な推進をあげた。「制裁(に違反しない事例)の範囲内でやれることはいくらでもある。国連の例外的な承認が必要な場合は、それを得るため努力する」と語った。

米国は協力に前のめりな文氏にクギを刺す。文氏は7日の新年の演説でも同様の考えを示したが、ハリス駐韓米大使は同日、テレビ局KBSのインタビューで「我々は南北関係の進展と共に、非核化も進展させたい」と発言した。文氏が演説で言及した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の訪韓要請も「米国との協議のもとでなされるべきだ」と語った。

北朝鮮も冷淡だ。訪米した韓国大統領府高官は10日、トランプ米大統領から金正恩氏へ誕生日の祝意を伝えるよう求められたと明かした。だが、11日には北朝鮮の金桂官(キム・ゲグァン)外務省顧問が「我々は(トランプ氏の)親書を直接受け取った。南朝鮮(韓国)には朝米間で『仲裁者』の役割を果たそうとの未練が残っているようだ」と、皮肉を述べた。

文氏は14日の会見で、同氏の考えが米朝双方に受け入れられていないのではと尋ねられると「南北関係は見えない部分が多い。うまくいくと楽観している」と述べた。

韓国メディアの関心は文政権と検察との関係に集まった。辞任した曺国(チョ・グク)氏の後任で、与党代表も務めた秋美愛(チュ・ミエ)法相が、大統領府の関わる不正疑惑を捜査する検察幹部を人事で一掃したことには「捜査権は検察にあるが、人事権は法相と大統領にあり、尊重されなければならない」と語り、正当性を主張した。

韓国の実質成長率は19年、2%にとどまったとみられている。会見で文氏は「昨年12月から輸出に回復の兆しが出てきた。株価も年初から上昇しており、今年はよくなるとの見方は国内外で一致している」と強調。「マクロ経済の回復を国民が体感できるよう最善の努力をする」と語った。

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