中国の「為替操作国」解除 米政権、貿易交渉進展で - 日本経済新聞
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中国の「為替操作国」解除 米政権、貿易交渉進展で

(更新)

【ワシントン=河浪武史】米財務省は13日公表した半期為替報告書で、中国の「為替操作国」への指定を5カ月ぶりに解除した。米中は貿易交渉の「第1段階の合意」で、人民元政策を透明にする為替条項を盛り込む方針だ。米政権は中国の通貨安誘導の懸念が和らいだと判断し、強硬措置を撤回する。米中両国が通貨摩擦を回避すれば、目先の外国為替市場の安定材料になる。

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米財務省は中国との貿易交渉が膠着状態にあった2019年8月、同国を為替操作国に指定した。操作国に指定すればさらなる経済制裁に道を開くこととなり、貿易戦争が通貨摩擦へと発展する懸念があった。ムニューシン米財務長官は13日の声明で「中国が競争的な通貨の切り下げを控えると約束した」と言明し、貿易交渉で為替条項に同意したことを評価した。

半期為替報告書は4月と10月に連邦議会に提出するのが通例だが、米財務省は19年10月の公表を見送って中国側の出方を見定めていた。中国は制裁関税によるコスト増を懸念しており、市場関係者には「輸出促進のため、中国当局が人民元安を容認している」との見方が強くあった。貿易交渉の部分合意と為替操作国の指定撤回によって、目先の米中の通貨摩擦は回避されそうだ。

米財務省は為替操作国に指定する条件として(1)対米貿易黒字の規模(2)経常黒字の規模(3)一方的な自国通貨売り介入――を掲げている。中国が該当するのは(1)だけだが、19年8月には人民元相場が対ドルで11年ぶりの安値になるなど通貨安の懸念が強まり、トランプ政権が強硬措置に打って出た経緯がある。

一方、半期為替報告書では日本を引き続き「監視リスト」に指定した。監視リストは経済制裁などの対象にはならないが、操作国指定の前段階と位置づけて、相手国の通貨安誘導をけん制する狙いがある。円相場は「実質為替レートが6年間にわたって過去平均よりも円安水準にある」と指摘。日本には「為替介入は事前調整のもとで極めて限定的に行われるべきだ」と注文をつけた。

監視リストには中国が引き続き指定されたほか、ドイツや韓国、イタリア、マレーシアなどが入った。19年5月時点では合計9カ国だったが、スイスが再び指定されて10カ国となった。

11月の米大統領選を前に、トランプ大統領は米企業の輸出が不利になるドル高を強く警戒している。19年夏には2年ぶりのドル高水準となり、中国の人民元安誘導を強くけん制するとともに、米連邦準備理事会(FRB)に一段の利下げを要求した。足元ではドル高に一服感がみられるものの、中東情勢など不安材料が残り、米政権は引き続き為替相場を注視している。

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