オンラインゲームに時間制限 香川県、依存防止へ条例案

インターネットやオンラインゲームなどの過度な使用が社会問題となる中、香川県は10日、全国初となる「ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)の制定に向け、オンラインゲームの使用時間制限を具体化した素案を明らかにした。使用時間の上限は18歳未満で1日60分、土日や祝日、長期休暇を含めた休日は90分とした。ただ、罰則規定などはないため、実効性は不透明だ。2月定例会での議員発議を経て、4月の条例施行を目指す。

この日開かれた5回目の県議会の検討委員会で事務方が示した。素案は条例の実効性を高めるため、依存性が高いとされるオンラインゲームの使用時間の上限に加えて、使用時間帯の制約も明記した。中学生以下は午後9時まで、高校生は午後10時までに使用をやめるよう求める。ただし、罰則規定は設けていないため、実質的な強制力はもたない。
さらに、県には予防対策の実施や全国で不足している医療体制の整備、相談支援体制の充実を求めた。学校や保護者に対してはスマートフォン、ゲームの適切な使用を促すための指導、閲覧制限をかけるフィルタリングの活用などを記載。法整備の検討を講じるよう、国との連携も明記した。
ゲームの過度な使用による睡眠不足や生活習慣の乱れから青少年を守るには、関係者による総合的な対策が必要として、関係者間の情報共有や子供への指導、保護者への啓発を実施する。県や学校、保護者に加えて医療関係者やゲーム事業者の役割にも言及した。
国連機関の一つ、世界保健機関(WHO)は昨年に「ゲーム障害」を疾病として認定するなど国際的に大きな問題となっている。ゲームに依存することで社会生活に重大な支障がでる状態とし、問題が生じているにも関わらずゲームを続ける状態が1年以上続くと病気として認められる。
スマホ普及によるネット依存拡大も全国的な社会問題だ。厚生労働省研究班の推計によると、依存の疑いがある中高生は17年度時点で約93万人と、12年度の調査と比べて倍近くに増えている。その中で中高生は全体の約14%を占める。
この日の審議では、ゲーム事業者の役割について、オンラインゲームへの課金制限などを設けて条例の実効性をより高めることができないか、などの指摘があった。委員長を務める県議会議長の大山一郎氏は「条例を制定することで(ルールを)全体で統一できたが、実効性を高めよという指摘を真摯に受け止めて、もう一度練り直したいと思う」と話した。
今回の議論を踏まえて素案を修正した上で、月内に再び検討委員会を開く。1月中にパブリックコメントを実施し、2月定例会での議員発議に向け修正を加える予定だ。
(桜木浩己)