ファナック、「白い」ロボで中小狙う 導入ハードル低く

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コラム(ビジネス)
自動車・機械
2020/1/14 2:00
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協働ロボットの新製品「CRX」シリーズは白を基調にした

協働ロボットの新製品「CRX」シリーズは白を基調にした

ファナックがロボット導入の煩わしさをなくした新機種を投入する。人と一緒に働く「協働ロボット」で、タブレット端末のアプリで動作設定できるようにした。ボディーカラーも白とシンプルだ。専用コントローラーによるシステム構築を省き、中堅・中小企業にとっての悩みだった導入のハードルを下げる。ユーザーとの距離感を縮めて、需要の裾野を一気に広げる狙いだ。

2019年12月下旬に開かれたロボットの展示会で、ファナックは「白いロボット」を展示して、一挙一動が注目を集めた。「CRXシリーズ」と名付けられ、人間との作業スペースを区切る柵が必要がない「協働ロボ」だ。20年6月の出荷開始を予定している。真の実力はその動きではない。

ファナック製品は「黄色」で知られるが、協働ロボでは「緑のロボット」を投入するなどカテゴリーを分けている。「白いロボット」は緑より軽量にし、動作システムを手間をかけず構築できるようにした。人間と肩を並べて働くが、さらにユーザーに寄り添った。

専用のロボットコントローラーを使わず、タブレット端末で気軽に操作ができるため、導入の難易度を大きく下げている。タブレット端末向けアプリもファナックが提供する。担当者は「これまでロボットを導入してこなかった顧客にとっても優しい仕様になっている」と話す。

デザインについても、「白」は「緑」より丸みを帯びている。稲葉善治会長は「人間と一緒に働くロボットとして、違和感を感じさせないデザインを意識した」と説明する。各業界で人手不足が深刻になるなか、稲葉会長は「将来的に半分は協働ロボットになる」とみる。白いロボットは「導入は面倒」という心理的な壁を破る役割を担う。

自動化、省力化にロボットは欠かせないが、多種多様な機械や設備と組み合わせて導入するのは簡単ではない。それぞれの作業のプロセスを、無駄のない「線」でつなげられるかがカギとなる。例えば、工作機械が加工した製品を、ロボットはどう取り出せばいいのか。こうした経路(ルート)そのものを設定する難易度は高い。

ファナックはこの経路設定を、画像認識センサーを駆使することで自動化できる独自技術を開発した。今春をめどにリリースを予定する。

まずロボットが工作機械の形状を認識する。それから、工作機械の内部にある製品を加工する位置と、製品の取り出し先の2点をロボットに教える。ロボットは工作機械の扉などにぶつからず、最適な経路をみずから作成して動けるようにした。

経路の自動作成は、自動車向けの溶接ロボットなどにも応用できる。車体を溶接するロボットはいったん停止してしまうと、復旧するためには最初の定位置にわざわざ戻す必要がある。作業員がコントローラーを使って、車体に触れないように手動で操作している。定位置までの経路を素早く導くことで、作業が止まる時間を節減できる。

ロボットは製造業にとどまらず、サービス業など幅広い業種に普及する見通しだ。人との「協働」や「協調」がテーマになっており、その動きだけでなく、誰もが使いやすい機能も重要になりつつある。ファナックはロボットに抱きがちな堅苦しいイメージを払拭し、技術の応用範囲を広げようとしている。「白いロボット」はその先導役になる。

(企業報道部 福本裕貴)

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