郵政社長、内部統制を優先 不適切販売で調査対象拡大

2020/1/9 22:16
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記者会見する(右から)かんぽ生命の千田社長、日本郵政の増田社長、日本郵便の衣川社長(9日、東京・大手町)

記者会見する(右から)かんぽ生命の千田社長、日本郵政の増田社長、日本郵便の衣川社長(9日、東京・大手町)

かんぽ生命保険の不適切販売問題を受けて就任した日本郵政の増田寛也社長らは9日、初めて記者会見し、全容解明を急ぐ方針を強調した。これまで調査した保険料の二重徴収などのほかにも、不正が疑われる契約を「別途調査したい」と述べた。企業統治の強化に向けて外部専門家を入れた組織をつくる意向も表明した。内部統制を優先し、成長戦略は示さなかった。

増田氏と日本郵便の衣川和秀社長、かんぽの千田哲也社長の3社長は6日に就任。増田氏は郵政グループにとって「創立以来最大の危機」との認識を改めて示した。引責辞任した郵政の長門正貢前社長ら前経営陣に代わって立て直しにあたる。

かんぽの契約のうち、二重徴収や保険料の高い契約への転換など契約乗り換え時に不利益を与えた可能性のある案件が18万3千件あった。郵政グループはこれらを重点的に調べてきた。ただ、立ち入り検査した金融庁は顧客の意向に沿わずに契約の解消と締結をくり返す「多数契約」なども確認したと指摘している。

例えば被保険者を何度も変えて契約数を稼ぐ「ヒホガエ」と呼ばれる手法は販売員の間で知られる。郵政は今後、こうした案件も調査対象に加える方針で不利益を受けた顧客が膨らむ可能性がある。増田氏は調査の迅速化に向け「外部リソースを生かす」とも述べた。

不正が再発しないように法令順守や企業統治を抜本的に見直す。「外部の専門家を入れてコンプライアンスやガバナンスをどう確立するか考える」と話した。失われた信頼を回復できるかどうかは「社員全体が危機意識を共有できるかにかかっている」と強調した。

前総務次官による郵政の鈴木康雄前上級副社長に対する行政処分情報の漏洩に関し、事実関係を調査すると明らかにした。「官民癒着が企業価値の毀損につながるのではないかと考えた」という。高市早苗総務相が前次官の懲戒処分の際に旧郵政省出身者の郵政グループ取締役への天下りに否定的な見解を示したことについては「大臣の指示に従う」と述べた。

成長戦略については何度か問われたが語らなかった。「足元を固めることに専念したい」とくり返した。「いま夢を語ると余計に信頼を失う」と話した。金融庁と総務省から3月末まで営業を禁じられているかんぽ商品のその後の扱いも「販売再開までまだ考えていない」と述べた。

民営化については「推進しなければならない」と話す一方、「民営化以前に組織としての形態を整える」と強調した。

増田氏ら3社長とも顧客に不利益を与えたことを陳謝した。衣川氏は「組織風土を変え風通しの良い会社をつくる」と述べた。千田氏は「社員間の情報の目詰まりを解消し情報共有の基盤をつくる」と語った。

金融庁と総務省に月末に提出する業務改善計画の策定が3社長の当面の課題だ。保険料の返金などの不利益解消を求める4万5千人以上の顧客への対応も急務となる。

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